ケルト文化圏

スコットランドの光と影 その5 独立投票の意義

この大騒ぎのおかげで、改めてスコットランド史を読み直している。連合王国の存続という意味でいうならば、歴史は動かなかった。が、これは対イングランドとの関係において、実質的な勝利なのだろう。それは、今後次第に明らかになっていくはずだ。

スコットランドの本気度は、イングランドを慌てさせた。今後イングランドは、スコットランドをつなぎとめるために、大きな権限譲渡しなければならないし、それは約されたことでもあるらしい。

スコットランドは、したたかなイングランドにいつもしてやられてきた感があるが、今回は、少なくとも事実上、お見事。

スコットランドの光と影 その4 そして歴史は動かなかった

ほぼ独立反対が確定したころ、こんな選挙速報が流れた。

It's not mathematically done and dusted yet, but even the most optimistic Yes siders must surely in the process of unscrewing cap off bottle of whiskey.

/未だ数値は確定していない。そして、霞も残っている。しかし、最も楽観的な独立派でさえ、祝杯のウィスキーボトルを開けないまま終わることが確実になった。

そして早朝のスコットランドに結果が発表され、冷静なコメントが伝えられた。

we're going to have a job of work to get things healed afterward.

/さあ仕事を始めよう、将来に向けて、この傷ついたスコットランドを癒すのだ。

総括的なコメントがある。

Fear triumphing over hope.

/不安が希望に勝利した。

スコットランドの光と影 その3 蛍の光

そろそろ年末のことも気にする季節が来た。大みそかを家族で過ごして、NHKで紅白を観る人も多いと思う。

で、紅白のエンディング・フィナーレ。今年もいろいろありましたねーと歌う歌。

これはズバリ、スコットランドもの!民謡の「Auld Lang Syne」だ。

もちろん、日本語歌詞もすばらしい。明治の英知を感じる。

エピソードがある。

明治の学校教育上、音楽が問題となった。

当時は、近代化のために、多くの欧米人が日本に招聘されていたが、教育担当?の外国人が、提案した。

「日本の伝統的メロディーは、スコットランド、アイルランドの民謡に似ている。これらを導入してみてはいかが?」

この提案は、実に的を得たものだった。はるか彼方、北海道より小さな国の歌が、まるで地生えの歌のように日本の文化に定着している。

そして、今日、投票の結果が判明する。

スコットランドの光と影 その2 連合王国ということ

そもそもイギリスって日本語表現、イングランドやイングリッシュがなまったものらしい。これでは、スコットランドが感じられない。

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国では、長いが、これはよくわかる。地域と政治体制を表現している。

略して、UK(連合王国)。王国とは、イングランド王国とスコットランド王国で、王家は一つ。

北アイルランドは両王国の植民地なので、それ自体に王家はない。

そして、ウェールズ。ここは、公国。王国の格下なので、国家の単位として表現されない。

と、僕は理解している。

ある日本人がスコットランドを旅して、地元の人と現女王の話題になったとき、その人は、「エリザベス1世」と表現した。

な、わけないでしょ。今の女王は2世でしょ?

と、日本人がいうと、

「ここ(スコットランド)では違う。なぜなら、先のエリザベスは、イングランドの女王、エリザベス1世だ(おれたちの女王ではない!)。あの方(現女王)は、連合王国最初のエリザベスだから1世である。」

見事な理屈。だから、両国の関係は難しい。

スコットランドの光と影 その1 独立国家の消滅1707年

この国は、再び独立するのだろうか、ついに投票が明日に迫った。

実益を考慮したら、止める。心情を考慮したら、する。この両天秤が、大方の国民の感覚だと推測する。

心情、今の経済ではなく、これは歴史だ。この機会に、再度資料を読み直してみた。

イングランドが、スコットランドを経済破綻に追い込み、金とか、その他そそられる話で、議会と有力貴族を丸め込み、国民不在のまま、事実上スコットランドがイングランドに併合された日は、1707年5月1日のことだ。

この日を前後して、スコットランドでは暴動と焼き討ちが繰り返されていたという。そして300年後、また大きな岐路を迎えようとしている。

当サイトとしては、投票権があるわけではないけれど、この国をもっと知ってもらいたいので、継続して記事を書く。

メリダの森の歩き方 その2 父ファーガス

このアニメが良くできている点の一つは、お子様ばかりでなく、その親にうけることも配慮していることだ。

俗にいえば、縁談を蹴飛ばす娘に翻弄される両親の物語、そのものでもある。親としては身につまされる?

この母と娘の確執なんて、まさによくある話。女どうしだから、根が深かったりする。

メリダの父は、ファーガスという。豪放そのものなのだが、意外と細やかな気遣いがあったりして。

メリダへの対処に悩む妻(エリノア)相手に、ロールプレイまでしている。カウンセラーの役割だ。

ところで、ファーガス(FURGUS)って名前、ゲール語由来だ。意味を分解すると、Fear/男+Gus/気骨のある、勇気のある となる。

スコットランドではよくある名前なのだが、そのキャラにうまく整合させているわけ。

僕的に、父親視点から、思い入れの深いシーンがある。

ハイライトシーンだが、メリダの放つ「運命の矢」の場面。

恐ろしくリアルな描写は、引き絞られた矢の矢羽がメリダの頬をかすめ、血のにじみの直線を描く様子だ。

このシーン自体極めて劇的なのだが、伏線が最初にある。

それは、父がまだ幼いメリダ(うちの娘に重なる)に、母の反対を押し切りおもちゃの矢(かなり本物だが)をプレゼントする場面。さっそくメリダは射撃に興じるが、父は、しっかり頬まで引くことを教示する。

つまり、成長したメリダは(いつもは親の言うことを聞かないわがまま娘だが)、この教えをしっかり守って自らの運命を切り開くわけ。

以下長い余談、

うちの娘は、保育園のお友達兼、暴力小僧たちのイジメにしばしば遭っている。そこで、護身術のトレーニングをすることにした。

あまり本格的に仕込むと、お友達の腕をへし折りかねないので、そこは幼児向けに。

先日保育園にお迎えにいくと、やってるやってる、うちの娘は、パンチ攻撃の連続を跳ね返していた。なかなか、ぐっとくるシーンである。

昨夜も新しい技を仕込んでおいた。今日も立派に人生の戦いを演じていることだろう。

最後に一言、このアニメの原題は、実にシンプル。「BRAVE」である。

メリダの森の歩き方 その1 ハイランド

つまり、ディズニーアニメ、「メリダとおそろしの森」記事である。

このアニメ、ディズニーのお姫様シリーズの一つなのだが、全く異色。おとぎの国の話じゃなくて、時代と場所、文化、民族性を明確に表現している。

スコットランドは島嶼地域とハイランド、ローランドに分かれるが、このアニメの舞台は中世ハイランドだ。アニメの中でも、豪快な山並みを堪能できるが、これがまさしくハイランドの風景。

写真を載せてみた。ハイランド南西部のグレン・コー(Glen Coe)だ。かすかに山腹に滝も見える。このアニメでも滝の描写があったが、たどり着けたら大したもの。

Photo

先のアイルランドの記事で、「Glen」は渓谷と説明した。こっちも、「Glen」。すなわち、同じ言語文化圏ということ。その違いは、アイルランド・ゲール語とスコットランド・ゲール語 である。

グレンコーといえば、歴史上、グレンコーの大虐殺、とくる。これは、イングランドが黒幕となってハイランド氏族間に虐殺事件を起こしたもの。

氏族(Clan)、これがこのアニメを理解するキーワードでもある。ハイランドの氏族社会って大陸やイングランドの封建社会とはかなりテイストが異なっている。

巨大家族みたいなイメージだ。メリダは王女、と表現されているが、族長の娘に近いと思う。とても、シンデレラ城で舞踏会なんて柄じゃない。

この物語は、氏族間の通婚のエピソードでもある。

メリダに求婚する男たちは、それぞれの氏族の長の長男、とされているが、その氏族は、マク・ガフィン、ディンウォール、マク・キントッシュ。それぞれ、タータンの柄で区別されている。

これ、実在の氏族だろうか、なら、タータンも本物の柄だろうか、と気になっているがまだ調べていない。

ところで、氏族名の「Mc(マク)」だけど、ゲール語の「息子」が元の意味。つまり、始祖から始まる血縁が意識されている名前(姓)だ。この点でも、大家族性のテイストが伝わると思う。

氏族間で、戦争したり、協力したりややこしいのが氏族社会なのだが、このように中央集権化できないところが、ケルト人の伝統?でもある。

個々の武勇はスゴイのだけど、なかなか組織化できないので、古くはローマに敗北し、英国では、イングランドに制服されてしまうわけ。

この歴史を知ると、氏族間に和解を求めるメリダの叫びは、より痛切に響くことだろう。

最後に余談、

このサイトで最も読んでもらっている、「アイルランドの歌 Mo Ghile Mear(モ・ギレ・マー)」

の記事なんだけど、この歌の背景は、ハイランド氏族社会の壊滅である。その結果を一言でいえば、「近代化」。

僕としては、戊辰戦争の会津状況と重なって見える。

タータンを着る 身近なスコットランド

秋も深まると、タータン柄を身につけた人が多くなる。今年の秋は、とりわけBlack Watch tartanが多いようだ。おそらく50人いたら、1人くらいの割合で、このタータンを身につけているのでは。

ただし、タータンはただの柄ではなく、それ自体伝統的な意味を持っている。一般的な意味では、スコットランド氏族(Clan)の印。その他、軍隊の所属・地位、社会階級を表す場合もある。

Tartan これが、僕のタータンのネクタイ。エジンバラで買ったもの。

上は、お馴染みのBlack Watch。スコットランドでは衛兵などがキルトとして腰に巻いている。特定の氏族の印ではない。

しかし、シャツならいいが、ネクタイなどワンポイント的な使い方には向かない感じ。着合わせに苦労している。

下はれっきとしたクランのタータン。その氏族とは、Lindsay一族。少なくとも11世紀の終わりころから登場した氏族である。

デザインもいいが、この氏族のモットーは、”Endure boldly”、勇気を持って(困難に)耐えよ、という意味か。なかなか勇ましい。心して身に着けよう。

こんな具合に、氏族のモットーを踏まえてタータンを使うのも一興。

以上は、タータンのガイドブックを参考にしている。加えていうと、タータンは日本の家紋に相当する意味もあるけれど、スコットランド氏族には、別途、紋章(Crest)もある。

Lindsay一族の場合は、王冠の上に羽を広げた白鳥をあしらったもの。カッコいいです。王冠は、王家に近い家系だからだろう。

セシル・コルベルの故郷 ブルターニュから

久しぶりの音楽ネタ。ブルターニュから画像が届いたので公開する。ハープとフィドルのユニット、街頭の演奏だ。

Photo_2

「借りぐらしのアリエッティ」で多少?日本でも有名になったブルターニュのハープ。ブルターニュでは、普通の楽器である。だから、その辺の街角で聴ける。

帽子が置いてある。つまり、これ、バスキング中だ。マナーとして聴いたらコインを入れる。クラシックのハープだったら、豪勢なドレスを着て、オーケストラをバックしにて、、、なんてことになるが、ケルトなハープはこんな具合。後は屋台の雑貨屋だし。

雑貨を買うことも、ハープを聴くことも並列した日常空間の出来事なのだ。

クラシックなハープとの構造上の違いとは?、こんな質問は野暮である。むしろ、文化的背景、心の問題が重要だ。

ついでにいうと、相方の女の子が演奏しているのは、バイオリンではない、フィドルである。どこが違うかって?それも心だ(もちろん演奏法も)。

スコットランドを着る インバネス(とんび)

スコットランドといえば、タータン(柄)。僕はネクタイに使っている。これは現地で買ったものだ。

そこそこにユニークだが、分かる人しか分からない。スコットランドといえばキルトだが、さすがにキルトは持ち合わせがない。日本人の感覚ではスカートに相当する。バグパイプ等相応なアイテムなしでは異様である。おまけに、正式な作法として下着をつけてはならないので、過激すぎる。

インバネスは持ち合わせがある。大正期または昭和初期の作らしく(かつては日本でも紳士のコートとして定着した)、作成した仕立て屋さんのタグによれば、電話番号が都内4桁しかない。ちなみに、このネーミングは、スコットランド高地の町の名前に由来している。

以前古着屋で見つけて、手直ししたもの。仕立て屋さんによれば、今は廃れた生地を使っているので大切にしてほしいとのこと。

そろそろ寒くなってきたので、着てみたいが、かなり目立つ。すこし勇気が必要だ。

あるとき新宿駅のキオスクで買い物をした。店番は相当な高齢のご婦人だったが、大いに感激してくださった。「ああ、とんび。私の娘時代には、お旦那衆がおそろいで着ていました。なんて懐かしい」。

伝統的なファッションの強みは、古くならないことだ。いや、古くなるほど新鮮。

この方、少女のように、目が輝いていた。

インバネス同好会?を開いてみたい方は、メールください。

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