アイルランド音楽

ティン・ホイッスル入門 その3 耳をすませば

入門というより、応用の話。

ジブリのアニメ「耳をすませば」の、主題曲「カントリーロード」。その間奏のリコーダーの演奏ってなかなかいい。

憧れて、リコーダーで吹いてみる。でも、アマチュアとしては、難曲だ。

緩急が激しく、やたら早い部分があって、テンポがなかなかつかめない。

C管のリコーダーとしては、早い部分の半音が困る!

この曲、ヘ長調だ。ってことは、♭一つじゃないか?

いや、この間奏は、事実上変ロ長調で♭は二つある。あーめんどくさい。

B

そこで、ホイッスルだ。それぞれの調に応じたヴァリエーションがある。この曲の場合、変ロ長調のホイッスル(B♭管)を使えば、半音でこけず運指がなめらかにいく。

ただ、かなりの高音があるので、高音が冴えるマイケルバーグ製のホイッスルがいい。

この写真右がそれ。左は、より一般的なGeneration製。

リコーダーに近い音のホイッスルは、映画タイタニックで活躍した(と聞く)スザート製だけれど、如何せんこの楽器は高音が苦手だ。

ティン・ホイッスルには、アイリッシュ音楽を越えて、いろいろ試みる余地がある。ただ、コレクター化してしまっては、本末転倒だけど。

Fiddle/フィドルとバイオリンそして津軽三味線

この記事は、「青の森紀行」の伏線でもある。

辞書で、fiddle と引くと、バイオリンと第一の意味がある。しかし、ぺてん、詐欺、ぶらぶら過ごす、とかの否定的な意味が隠語的に関連する。

欧州の音楽上、バイオリンは、クラシックの楽器であり、フィドルは民族的、土着的な音楽の演奏の楽器である。でも、「ブツ=楽器そのもの」は同じである。

この「ブツ」は、日本では、ほぼ前者の意味でしか使用されていない。なので、良家の子どもが習うイメージ。音楽大学の正統な教育課程でもある。しかし、後者の世界もそれはそれで奥が深く広大である。

アイルランドの路上で、フィドルを弾き、投げ銭を稼ぐ人がいる。こんな”文化”がフィドル演奏の土壌だ。

物語的にいえば、飲んだくれの父がいて、病弱な母がいて、子どもが路上でフィドルを弾き、日銭を稼ぐ。

その技量に一家の生活がかかっている。だから、技術的には相当なものだ、客のリクエストにも応じるので臨機応変、でも、楽譜の読み方は知らない。

津軽三味線を世に知らしめた高橋竹山。この人は、まさにフィドルな人だった。

目が見えず小学校はほとんど行かなかった。そこで、親は14歳のとき、三味線弾きに弟子入りさせ、16歳のとき自立した。

自立、それは、日銭を稼ぎ自分で生きろ、ということだ。実質は放浪演奏。

竹山の伝記には、「門づけ」という言葉がよくある。これは、家々を尋ね、演奏し、米やわずかな金をもらうこと。極限的な演奏活動の形である。

竹山の同郷の人に「知ってます?」と尋ねたら、「あ、おもらいさんね」と言われた。つまり、「物乞い」としか見られていなかったことがよくわかる。

ところが、竹山の晩年には、大きなステージの独奏があり、海外演奏旅行も実施された。それは、彼自身の卓越性と支持者の成果だ。時代背景も大きいだろう。

こうして、一つの音楽ジャンルとして”津軽三味線”が確立した。楽器として津軽三味線は、太棹だそうだ。でも、竹山にいわせれば、それは舞台に立つからできること。というのは、毎日遠距離を歩く、「門づけ」に太棹では重すぎる。過酷な時代を生きた人だから分かる実感だ。

参考:「高橋竹山に聴く ―津軽から世界へ」 佐藤貞樹著 集英社新書

小さなライブをアイリッシュでする用意(使用楽器)

余興的に演奏を頼まれたので、楽器を選んだ。映像制作関連の団体のイベント上なので、映像関連の音楽を意識する。この場合、映像とは、”タイタニック”などである。

曲目としては、

①Ar Éirinn ní nEosfainn Cè hí (訳:アイルランドのために、彼女が誰かを言えない)

②My Heart will go on (タイタニックのテーマソング)の一部

タイタニックの音楽では、アイルランドのバグパイプ(イーリアンパイプ)が活躍したが、ティンホイッスル(B♭管)も登場しているので。

③Cooley's Reel、④Over the Moor to Maggie (連続で)

あと、ポルカとか(簡単なダンスの伴奏として)

②以外、一般の人は知らないと思うけど、YouTube でこれらは簡単に聴くことができる。よろしければ、ご検索を。

④この曲は、日本のアニメで使われたことがある。マイナーなアニメだけれど、「魔法遣いに大切なこと」だ。遠野(主人公の出身地として設定)の風景のBGMとして使われた。楽器は、アイリッシュ・フルート。

楽器は、これら。

Photo
上から、アイリッシュ・フルート(E管)、メーカーは、ペーター・ノイ。一般的にはD管だけれど、ソロで演奏するなら、運指上、小ぶりなE管がいい。

中央は、ティンホイッスル(B♭管)、メーカーはチーフタン、演奏はタイタニック用。

下は、標準的な、ティンホイッスル(D管)、これは明るく楽しいポルカ演奏を想定。

さて、、、うまくできるかな。飲みすぎないようにしよう。

ケイリー/Céilí とは、アイルランド音楽の中核

ケイリーバンド募集!、ってEメールが届いた(国内から)。

Céilíとは、アイルランド式の伝統的なダンスパーティのことである。

そこで、演奏するバンドがケイリーバンドである。

すこし驚いた。これ、コンペティションの募集である。つまり、日本国内でそれなりにバンドが集まる時代になったということだ。

そして、ダンサーたちも交え、大きなケイリーも開催される企画である。

アイルランドを旅すれば、音楽ショップや公共の施設などにケイリーの企画、ダンス・楽器演奏のワークショップのポスターを目にすることができる。

たとえば(少し古いけど)、

Photo

どちらか若しくはどちらも習ってケイリーにデビュー、こんな仕組みができている。

いわゆるバンドは、それ自体個性ある見せどころがあってこそCDが売れたりできるわけだが、ケイリー場面に関しては、そこそこ地味でなくてはならない。

つまり、個性に走るのではなく、ダンサーを気持ちよく踊らせるリズム性とかアクセントが重要になる。あくまでダンスとの整合性が肝心だ。

アイルランド音楽は、そのほとんどがダンス曲だ。身体的に流れに乗ることが本来の楽しみ方なのである。

なので、この音楽を始めてみたい方には、ぜひ基本ステップを身につけることをお勧めしたい。これは、楽器を習ううえでも役にたつ。

http://comhaltas.jp/

たとえば、こんな団体もある。

NHK名曲アルバムでアイルランド音楽

今月のNHK名曲アルバムで「サリー・ガーデン」(Down by the Sally Gardens)がスライゴーの風景とともに放送される予定、とその筋から連絡があったのでご連絡。

放送日
8(木) Eテレ10:25
20(火) Eテレ6:20
25(日) 総合4:20

興味のある方はご覧ください。


クリスマスにチーフタンズ(Cheftans)を聴く

ささやかなクリスマスパーティにチーフタンズをBGMで流してみた。

アルバムは、「CELEBRATION」。何の祝いかといえば、ダブリン1000年祭である。この洋風お祝いムードがクリスマスにマッチしている。

1988年のもの。メンバーもずいぶん若い。

普段、アイリッシュを聴いていない人にも分かりやすい選曲としてお勧めだ。その他ケルト圏のミュージシャンも多数参加。

華やかなダンス曲のメドレーもあり、しめやかなエアー(スローな抒情曲)も含まれる。エンディングのフィナーレで盛り上がり、ではお疲れ様!となる。

曲目につき少しコメントする。

Coolin、おごそかなエアーである。このアルバムで聴き、初めて僕のアイリッシュ演奏レパートリーにもなった曲。不思議な語感の曲名にも魅かれ、その意味を調べようとしてみたがいまだに不明。この名前の小さな湖がアイルランド西部にあり、偶然に訪れた経験がある。

Wexford Carol、まさに伝統的なクリスマスキャロルの一つ。Wexfordはアイルランド南部の州である。素朴なクリスマスの集まりが目に浮かぶようだ。

Gaftaí Baile Buí (黄色い村の門)、この曲には故郷を遠くから想うような情感を感じる。が、門が黄色い(Buí)って変?とも思う。

このアルバムの日本語訳では、Baile(バリャ)→村 とされているが、愛英辞書には、home、town の訳がある。故郷の街、って感じかな。

アルバムでは、しんみりとフィドル中心の曲。アルバム上、ここでじわっとして、対照なエンディングに続く構成となっている。

槙原敬之「アイルランド音楽紀行」の感想

最近、TBS.Ch.で放映された企画の件。アイルランド音楽入門的にも、印象はよかった。音楽の土壌にそれなりに焦点が当たっていたと思う。

紀行物としても、ダブリンから、ゴールウェイ、イニシュ・モア島なら外れはないはず。イニシュ・モア島の小学校訪問がハイライト・シーンだろうけど、彼の音楽性と今一つかみ合わない点が少し残念だった。

個人的には懐かしい映像だった。ゴールウェイは、初めてアイリッシュ・フルートを手にした場所だ。そして、イニシュ・モアでは、ティン・ホイッスルも。古代要塞、ダン・エンガスは驚きだった。とにかくここは、遺跡の宝庫。

アイリッシュ・ダンスにチャレンジ、この企画もいい。テレビで放映されたものは、ケイリー・ダンスの様式で、最近の興行的なアイリッシュ・ダンスと異なり、いわゆるフォーク・ダンスに近いもの。要は、気軽にみんなで楽しむものだ。演奏が生でなかったのは、、惜しい。

彼の泊まった民宿、荒野の中にポツンと立っているそれだが、ここ僕も泊まった(と思う)。民宿のおばちゃんが元気でよかった。この人は、アイルランド初心者の僕を、よくもてなしてくれた。

番組では、ほとんど焦点が当たっていなかったけれど、イニシュ・モアはアイルランド・ゲール語最後の拠点みたいなところだ。

小学校の部屋の壁には、ゲール語表記がいろいろあったけれど、子どもたちは分かりやすい英語を話していた。日常はどっちなのだろう。

アイルランドであっても英語の優越性は仕方のないことだが、立派なバイリンガルであってほしい、これは外国人の勝手な願い。

一番、印象深かったシーン、それは古い廃墟の教会だ(僕は訪問していないが)。こういった場所はアイルランドによくある。古いものほど、パワー・スポットかも。

(別の場所でイメージ写真)

Photo 彼の話では、今でも結婚式に使われることがあるという。真実を誓うには最適の場所?

だから、廃墟とはいえ、今でも、華やぐときがある。アイルランドなら、楽器持ち寄りが結構普通だ。

ティン・ホイッスル入門 その2

もう4年間、師匠のレッスンをサボっているが、この楽器、もっと普及させたいので記事を書いてみる。

いまだにマイナーな楽器ではあるが、NHKの番組で、田舎のレポートがあったりすると、この楽器がピヨピヨとBGMを奏でることがある。

英語圏を中心に相当な数のメーカーがあるので、音の違いを楽しむのも一興。

Whistle 真ん中は、アイルランドのメーカー、Fea do'gのもの。音色は柔らかい。日本でも、大きな楽器屋さんならたぶん入手可能。

下は、アメリカ、マイケルバーグ製。金属製ではたぶん最高級のモデルの一つ(ちょっと高い)。音色が澄んでいて、高音域でも音が崩れない。安定した音が出るので、ぼくの師匠は、初心者こそこれじゃないかと、言う。

上は、スザート製。とりわけ大きいのは音域、音階の違いだ。これもアメリカ伝来。

タイタニック、ロード・オブ・ザリングスの映画音楽に使われたと聞いている。プラスチック素材なので、かなり音がポワンと柔らかい。

ティン・ホイッスルはD菅が基本だ(写真の中、下)。つまり、レの音から始まる。

と、いうことは、ニ長調でドとファの音に♯が当然に入る。短音階では、ロ短調。

アイルランド音楽は、ドとファに♯が入るニ長調、ロ短調、そしてファに♯が入るト長調、ホ短調がほとんど。

したがって、D菅のティン・ホイッスルの場合、♯なしのドの音だけ例外の運指で対処することができれば、いちいち半音階を気にせず演奏ができる。

これは、かなりの早弾きに対応できるばかりでなく、ティン・ホイッスル独特の装飾音、カット、ロール、クラン、スメアなどを可能にする。

ただ、6つの穴と息の強さでカバーできる音域は2オクターブがほぼ限界。

じゃ、他の調の場合どうするんだい?て質問がある。

対応は簡単だ。D菅以外を使えばいい(楽器として低価格だし)。A管とか、G管とか、C管、B♭管とかいろいろある。この写真のスザート物はA管だ。つまり、ラの音から始まり、ド、ファ、ソの音に♯が入っている(イ長調、嬰ヘ短調)。

世の中には、義務教育のリコーダーの影響で、とにかくド(C)から始まらないと気がすまない、という方もいるが、それならC管である。

アイルランドで日本の歌を聴かせてくれ、なんて言われることはよくある。自分の声で歌うのもいいが、ティン・ホイッスル取り出して、「赤とんぼ」なんて粋だと思う。

うまくいけば、ギネスビールおごられるかも。

小娘にフィドルを習わせる方法

フィドルと書いたが、うちの小娘の先生は、正統なバイオリンの先生である。3歳では曲も弾けないので、今は基礎練習の段階。

だから、困る。何でも遊びの年代だから、地味なお稽古なんてなかなかできない。とりあえず弾かせるために、僕が身体パフォーマンス、つまり振り付けを加えてみた。

アイリッシュ・ダンスには到底ならない。変な音を出せば、痙攣のパフォーマンス、そこそこの音なら暗黒舞踏。マトモな旋律なら優雅にステップ、程度とした。

これが、バカ受けした。止められない、止まらない。こっちもいい運動になる。

バイオリンとフィドルの奏法の違いなんてレベルの問題ではないが、振り付けを加える、これはフィドル的な発想だ。

アイリッシュにせよスコティッシュにせよ、フィドルの演奏はダンスを念頭に置いている。この基本を応用してみたらうまくいったわけ。

僕のフルートに合せてくれるとか、アイリッシュを踊らせてくれるとかずっと先の話だが、まずはこのあたりから。

フリマでティン・ホイッスルを売る話

もちろんそれほど本気ではない。が、楽しめた。うちの娘もがんばってくれた。

メインの商品は、うちの娘の古着。とにかく子どもはすぐに成長する。だから、子ども服はフリマ向きである。

ついでに、ほとんど使っていない笛をいくつか置いてみた。ティン・ホイッスルは、運指表つきだが、まだまだマイナーな楽器だ。笛ってことは子どもでも分かるが、日本の文化にはほとんど無縁なので、基本的に売れるわけないだろう。そもそも、民族楽器なので、特定の音楽世界に特化していることも大きい。

とはいえ、NHKの田舎訪問番組など、けっこうこの楽器が使われている。けど、現物を吹いてみよう、って話はかなり飛躍である。

ただし、日本の義務教育にはリコーダーが採用されている。この点、日本人にとってこの楽器の演奏は有利かも。

真っ先に目をつけてくれたのは、リコーダーやってるご婦人。実をいうと、この方、並べて置いたソプラノ・リコーダーが欲しかったのだが、オマケでティン・ホイッスルも一本買ってくれた。

さて、このティン・ホイッスル、ただのヘンテコな笛で終わるか、それとも異文化音楽世界への窓となるか、それは持ち主次第。

以下余談。

子ども服の売れ行きはまずまず。意外に売れたものは、山歩きのガイドブック。おじさんたちが続々と買ってくれた。清清しい山の上で、ティン・ホイッスル吹くのも悪くないのだけどね。持ち運び便利だし。

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