旅行・地域

三河紀行 その3 田峯の紅茶

奥三河、山紫水明のこの地域は、気候的にお茶の栽培に適した場所だ。お茶といえば、静岡が有名だが、その静岡から山並みで繋がっている。しかし、静岡に比べお茶の知名度はその一つ。これが残念なところ。

田峯とは、奥三河地方の集落の名前だが、地域おこし的に、緑茶加工の技術を応用し、紅茶も造られるようになった。

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ずばり、”田峯の紅茶”。伝統芸能の村歌舞伎にちなんだしゃれた包装だ。たまたま手に入ったので、ご紹介してみたい。

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この紅茶は、一般の紅茶ほど黒くない。赤味や深緑色が混在した大き目の茶葉である。

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朝食のときに淹れてみた。淹れ方にもよるだろうが、透き通る紅味が綺麗だ。中の白いカップに入れると良く映える。そして、その味は、淡麗。紅茶特有の渋みがすくなく、かすかに緑茶の風味を含んでいる。

これが地域の伝統の新鮮味。

三河紀行 その2 新種のミカワサンショウウオ

この発見は、今月のこと。国内にまだ未発見のサンショウウオなんているんですね。

新聞には、新城市とある。”市”といっても、広い。近年、山の深い鳳来町も合併している。とはいえ、奥三河の入り口にあたる地域。人里離れた山の中、みたいな地域ではない。

歴史的には、長篠の合戦で有名な場所だ。

ざくっと、里山中心の自然環境と考えてよいと思う。そこそこ人の生活圏と関わりながら、サンショウウオひっそり生き延びてきたのではないかな。

ところで、奥三河の里山なのだが、僕は、昔からこの地域の水辺の生き物に親しんできた。今年も2回、水辺に網を入れたが、このごろ生物相の変化が大きいと感じている。

もっと奥、設楽町の山間の田んぼなど、自然の沼地と化しつつある。で、そこには、イノシシの足跡が残されていたりする。

茂みから道路にひょっこりカモシカが顔を出しているのも見たぞ。カモシカとの遭遇なんて、下北半島の山の中で経験したことがあるけれど。

つまり、過疎化で、人の生活圏が縮小している。だがその分、自然が豊かになった、とはいえない。バランスが崩れているような印象を受ける。

僕の観察では、タイコウチやミズカマキリなど大型の水棲昆虫、サワガニが姿を消し、イモリがやたらと増えた。地元の人によれば、サワガニをイノシシが食べているとのこと。

一方、イモリは弱い毒があるので、食べられないのだろうか?

では、同じ両生類有尾目のサンショウウオはどうなのだろう。イモリにくらべ、ずっと繊細な印象があるけれど。かえって、競合に負けたりしないだろうか。

地域おこしとして、ご当地キャラもいいけれど、彼らは発見と同時に絶滅の恐れの状況だ。何より、適正な保護がなされることを望んでいる。

尾張紀行 その1 星が落ちた場所

最近、映画館でアニメを観た。「君の名は」である。そして思い出したこと、それは日本で星(隕石とか天体の一部)が落ちた場所の記録だ。

文献ではなくて、地名である。愛知県の名鉄本線の駅に、鳴海、本星崎という駅がある。それぞれ、鳴海町、星宮町にあるが、このあたりにかつて遠浅の海があったはずだ。

年魚市潟(あゆちがた)とは、この北方にあった遠浅の海の名称だが、万葉集の歌にも残され、愛知県の県名の語源にもなっている。

だから、地理的に近い鳴海、本星崎も、古くは海辺に位置していたのだろう。

昔、隕石などの落下により、海に轟音が鳴り響いた。まさに鳴海であり、落ちた場所の近くが星崎と解釈できる。この一瞬の、恐るべきできごとが、古い地域の記憶の痕跡となり、今も地名に残されていると推測できるだろう。

下北・青い森紀行 その8 ユースホステルと漁火

また暑い夏が来た。そこで、涼しげな写真を載せてみる。

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イカ釣り漁船である。このランプの列が、煌々と夜の海を照らすことだろう。微かにカモメの羽音が聞こえそう。

かつて下北半島の3大ユースホステルの一つであった、尻屋崎ユースホステル。夕食のイカそうめんが、遠い夏の記憶の一つとなっている。

ユースなので、夕食は質素なものだが、ご当地名物として、この一品が際立っていた。その心遣いがありがたい。

加えて、その夜は、窓際の古びたソファーから漁火を見ることもできた。

ペアレント、すなわち経営者のことだが、このおばちゃんは、当時足も悪くなっていたので、頼まれて朝のゴミ出しを手伝った。ユースが高台にあるので、ずっと坂を下らなければならなかったからだ。

その朝、出発のとき、2泊の宿泊費は1泊分でいいとおっしゃる。遠慮したが、お気持ちが強いのでありがたく半額となった。

その恩義もあり、こうして下北旅行を広く伝えようと思う。

アテルイと津軽弁の言語学

NHKのテレビドラマ、「北の英雄アテルイ伝」、これはなかなか考証が難しかったと思う。だって古代蝦夷の部族社会が舞台なのだから。

大沢たかおがアテルイ役だったが、日本語を話していた。まさか、古代蝦夷語(アイヌ語近縁の言語)に字幕の吹き替えを付けるわけにもいくまい。というか、古代蝦夷語なんて誰も知らないし。

けど、少し工夫があった。一人称が、「ワー」、二人称が「ナー」と表現されていた。それだけでも、異文化性が感じられるからよく考えたと思う。

この言葉は創作だろうか?

今回の下北旅行では、その謎が解けた。

津軽三味線の奏者の方(工藤雄一さんだったかな)が、ライブのスピーチで津軽弁を教えてくれたからだ。

「わ」は、私。「な」は、あなた。

なっどっさ/貴方はどこへ行きますか?

わっゆっさ/お風呂に行きます。

これが使用例。

そしてその語源は、「汝(なんじ)」と、「我(われ)」。

由緒ある日本語の末裔の言葉である。これがご当地的に応用されていたのだ。

北東北の地名には、アイヌ語が残されているとされる。それは正しいのだが、正確にはアイヌ語で推測できる地名、と言ったほうがいい。

そこから推測できること、それは、、、

遅くともアテルイが活躍したころ、それなりの言語圏が確かにあったはずだ。そのままアイヌ語と表現するには、歴史的時差があろう。なので、古代蝦夷語と表現してみた。

だれが、その世界を言語を含め再創造してしてくれないかな。ファンタジー的でもいい。

下北・青い森紀行 その7 仏ヶ浦の聖地

下北半島の西海岸は、断崖の連なる名所である。景観の全貌を見るなら、脇野沢からの遊覧船が都合がいい。

仏ヶ浦はその一つ。ここには国道338号沿いの駐車場からもたどりつくことができる。ただし、険しい道を降りなければならない。

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この世的ではない異様な景観だ。屹立する巨岩の様子を、仏の立像群にたとえたものだとすぐ分かる。

ザラザラの柔らかい凝灰岩が浸食され、長い間にこの景観を作ったのだが、この青白さが神々しく荘厳なイメージをもたらしている。

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ここには小さなお堂がある。中の壁には、たくさんの着物が掛っている。それらは、故人の遺品だろうが、かなり古いものもありそうだ。なつかしく、ここを尋ねる縁者もいることだろう。

この世とあの世の臨界のイメージに、彼岸を臨むようなこの浜辺はなんともふさわしい。

そして、さらに恐山へと行く。

下北・青い森紀行 その6 尻屋崎と寒立馬

本州の大地が尽きる場所が青森県に三か所ある。津軽半島の竜飛崎、下北半島の大間崎、尻屋崎だ。尻矢、アイヌ語の地名である。近くには、同様に尻労(しつかり)という地名もある。

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尻屋崎は、馬の放牧地として知られ、その馬たちは寒立馬(かんだちめ)と呼ばれる。灯台のあるあたり、それが放牧地になっている。

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地吹雪にさらされるような冬季の馬たちの姿をほうふつとさせる言葉だが、最近はわざわざ極寒の岬に馬たちを放っておくようなことはないらしい。冬季は、別の牧場に移されているそうだ。

数頭まで減ったこともあったが、現在は40頭ほど。それなりに、群れの様相になっている。

人が近づくことも可能だが、要注意。「昨日、蹴られて救急車で運ばれる人がいました」と、教えてくれる人がいた。

今年生まれた子馬をうちの娘が恐る恐るナゼナゼできた。これは、実に良い写真となったが、その後、憤然と迫る親馬(だろう)に、この人間の親子は追い回されることにもなった。

足が太くがっしりとした体形、長いたてがみが特徴だ。北国の農耕がこの馬種を創ったと想像がつく。人を乗せる馬ではなく、もくもくと農耕役務に従事してきた馬種なのであろう。

宮崎の都井岬の野生馬にも会ったことがあるが、彼らは毛深くなくもっとスラリとしていたように思う。地域に残る伝統的な馬種の比較も面白い。

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この岬の海域は、海の難所として知られてきた。柳田國男の「海上の道」にもその記載がある。実際、地蔵や海難事故の慰霊碑が立っていたりする。

早朝の尻屋崎を歩いた経験がある。印象深い形の海の岩々が刻々を色を変えていく。尻屋の晴れた夜明けの海は素敵だ。

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近くに泊まる必要があるが、このあたりには、宿泊施設もそこそこある。そして、その時泊まったのは、尻屋崎ユースホステル、今はもうないが、夜にはイカ釣りの漁火を臨むことができた。

下北・青い森紀行 その5 ささやかに脇野沢観光

遠い夏の日のバイクの一人旅、当時は、村だった。今はむつ市の地区。歴史あるユースホステルがあり、今も当時と変わらない外観になつしくかつホッとすることができた。あっぱれ創設1965年である。

時間を超え旅のイメージを重層できる楽しみはリピーターの特権である。

基本は漁師町であろうが、山が深く北限のサルでも知られている。

ささやかだが、観光のコンテンツは豊富である。一般的な民宿は3軒ほど。フェリーや遊覧船の発着港がある。海水浴場、海のいけすで釣りを楽しむ設備(海釣り公園)、猿害対策として群れを丸ごと捕獲して管理している野猿公苑、温泉(銭湯的な小規模のもの)、道の駅、なんとかレストランも一軒確認できた(釣った魚の調理を依頼可)。

周囲20㎞圏内には、奇岩の名所仏ヶ浦が北にあり(佐井村)、むつ市方面に戻れば、川内地区に海水浴場「まりんびーち」がある。この海水浴場の設備は新しく整っており、地域おこしの情熱が感じられる(陸奥湾の海水は冷たいが)。

道について述べる。むつ市からの国道338は、脇野沢でほぼ直角に北上しするが、これが海峡ライン。厳しい山道だが、仏ヶ浦はその途中にある。

かもしかライン、という道もある。本当にカモシカに遭遇しうるだろう。海峡ラインと同じく佐井村に通じている。

この道は、川内の町から北上するルートで、渓流沿いの山道である。さほど曲がりくねっておらず、切り立った断崖、渓谷的な見せ場がある。紅葉の季節には綺麗だろう。途上に温泉もある。

途中左折すれば、ダム湖がある。川内湖だ。湖畔の森の中に道の駅があり、食事もできる。この湖の中央から微妙にさびしく一本の噴水が上がっていた。

脇野沢に戻ろう。

朝起きて、北の街の日常を楽しむ。海岸通りの散歩がいい。

折しも、漁港に魚が揚がっていた。普段はかなり静かな町なのだが、この時間はかもめも騒々しくにぎやかだ。

以下、海岸通りの景色。

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漁に使う浮きである。ガラス細工の工芸品にも見える。

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防波堤に、地域の生活の様子を描いたタイルや、ホタテの貝殻が埋め込まれている。子どもたちの絵がかわいらしい。

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ところどころモニュメントを配置した海岸の歩道。モニュメントには、猿やカモシカがあしらわれていた。この花は薔薇ではない。ハマナスである。

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ハナマスの実がたわわに実っていた。

この植物は、北国の短い夏と長く厳しい冬を象徴している。

下北・青い森紀行 その4 脇野沢へ

司馬遼太郎は、初めて陸奥湾を見た印象を、「陸奥のみち」で、このように語っている。

「この光景をさびしいとか際涯(さいはて)とかと感づる感覚は、われわれが二千年という長期間、弥生式水田農耕という暖地生産で過ごしてきたことからきた百姓式の感覚であるに違いない。」

これは当時1970年代の印象で、その後はそこそこ開けているはず。観光施設だっていろいろある。ただ、今や少子高齢化の波の洗う先端の地。これは、この旅で心底感じたことだ。いずれ、詳しく書いてみたい。

陸奥湾は、ホタテの養殖がさかんな内海だ。悪天候ともなれば、波頭が道路を洗うこともあるけれど、僕の印象では穏やかな北の海。外洋の荒波が打ち寄せる半島の向こう岸とは対照的に感じる。

浅虫を出発し、むつはまなすラインへ、そして一路陸奥湾沿いに脇野沢を目指す。下北の大都市、むつ市の市街地はそこそこ渋滞もするが、このルートは爽快である。

南部藩と津軽藩の境界のあった野辺地、広大な菜の花畑で知られる横浜町(横浜とは長い海岸線の意味だろう)、会津を追われた藩士たちがたどりついた大湊、今はむつ市に編入されている旧川内町、そして、これも今はむつ市の旧脇野沢村となる。その行程は4時間ほど。

ここまで来ると、その先は津軽海峡である。

下北・青い森紀行 その3 青森あるいは麗しのSilvaCaerulea

この県名、率直にいえば、素敵である。

あの戊辰戦争の後、官軍に恭順的ではなかった地域は、よく知られた地名を県名として与えられることがなかった。これは正確な意味で嫌がらせである。

しかし、結果的に青森はよかった。だって、素直にイメージが湧く。美しい森、青森ならヒバの大木が静かに広がる光景が目に浮かぶ。こんな県名はあまりない。その意味もあって青森は小学生でも知っている県名のトップ3に入っているそうだ。

青森出身者がヨーロッパを旅して、故郷を尋ねられたなら、JapanのBlueforest?、いや、SilvaCaerulea (シルウァカエルレア)国から来ました。

と、青い森をラテン語に換えて答えてみたらどうか?

グローバル的にかっこいいだろう。北欧のような森林と歴史・文化の深みを相手にイメージさせることだろう。

ついでながら青森をそのままネーミングに生かし、「青い森鉄道」も走っている。地域の人たちの生活を感じさせながら、一両、二両でコトコト走るのもいい。運転手さんとの距離感も実に近い。

ちなみに、”鉄道むすめ全国マップ2015年版(パンフレット)”によると、青い森鉄道の八戸ときえさんが、筆頭のイメージガールである。

最後に一言、しくじったね官軍!

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