逆説の社会史 その12 ルネサンスと魔術
今日の日経、春秋の記事について。レオナルド・ダ・ヴィンチの有名な絵図なのだが、人の両手両足の広げ方によって、円と正方形に対応するというものがあり、その解釈は天と地を象徴するとされる。
この記事では、この図は、、、ルネサンス期の人間中心の価値観を示すものという、とある。
確かに教科書的には、宗教的に硬直した、抑圧的な?中世から、ヒューマニズムが開示されるルネサンスへ、とされるが、裏の側面もある。
それは、ルネサンス期こそ、ヨーロッパの魔術の全盛期でもあったという一面である。そしてその思想的裏付けは、新プラトン主義。当時のイタリアの名だたる名門一族たちは、この研究に熱心であった。
幾何学的な設計が宇宙の背後にあると考えるプラトン主義、そしてこの理法がこの地上の万物に”流出”していることを強調する思想は新プラトン主義である。
応用的に、天体の動きが、地上に影響を与え(インフルエンスし)、疫病の流行をもたらすのではないか、これってとても魔術的な発想であるが、インフルエンザという病名として名残をとどめていたりする。
もう少し穏当に、大いなるコスモス(大宇宙)の理法は、小さなコスモス(小宇宙)たる人体にもある、レオナルド・ダ・ヴィンチのあの絵図はむしろこの意味だと思う(このビジョンの広さが彼の天才性なのだろう)。
だから人間って素晴らしい、と考えることもできるが、近代的なヒューマニズムとは異質に感じる。
よく似た話として、近代科学の先駆者ニュートンの逸話がある。ニュートンの遺品を調べたら錬金術ネタばかりであった、、なんて話もある。
魔術師ニュートンの片鱗を都合よく解釈し、科学者ニュートン像が出来上がったのか?これは、科学史の興味深い課題であろう。
« 子育ての技法 その5 新聞を読ませる | トップページ | 子育ての技法 その6 小学生の漢字学習 »
「思想」カテゴリの記事
- 逆説の社会史 その16 吉本興行と大学病院(2019.07.26)
- 子どもとの会話 宇宙人の存在その2(2019.06.27)
- 子どもとの会話 宇宙人の存在(2019.06.20)
- 子どもとの会話 妖怪の存在(2019.06.17)
- 子どもとの会話 エロス神の降臨(2019.06.07)
コメント