フルート入門 その2 対照的な姉妹フルート
偶然、フルートの姉妹が出会った。詳しくご説明すると、同じ職人によって作られたフルートが互いに持ち寄られる機会があったということ。この2本のフルート生まれた工房はマテキ。
なぜ、姉妹かって?フルートはドイツ語上の扱いが女性名詞だから。また、年齢の上下は、製造番号の違いで判断できる。
この機会を利用して、これからフルートを初めてみたい方に少しご案内をしてみたい。
写真上のフルート、この子は妹だ。穴の並びがまっすぐ(インライン)、キーはリング状になっている(リングキー)。持ち主(僕)の趣味で、彫刻まで入っている。
姉は、対照的。穴の並びが曲線的で(自然な指の配置、オフセット)、キーは蓋状(カバードキー)。堅実で地味である。
この対比、人間でもありそうな姉妹?
インラインでリングキー、僕がなぜこのタイプのフルートを選んだかといえば、構造デザイン的に端正だし、指を微妙にずらす技法が使いたかったから(曲目にアイリッシュ系を意識)。
一方、楽器屋さんに売られている量産型のフルートは、オフセット、カバードキーが多いと思う。手の小さな人でも操作性が良いし、正確な音も出しやすいから、つまり無難だ。
しかし、姉はれっきとした職人手作りモノである。その職人技の最たるものは、頭部管(吹き口がある部分)の、巻き管製法だった。
これは、管を伸ばして造るのではなく、板を巻いて繋ぎ合わせて造る製造法のこと。見た目ではほとんど分からないが、こちらの方が難しく、値段も高い。
姉フルートは、組み立てるとき、独特の感触があるように感じた。吸い付くように入るような。実際、妹と吹き比べてみる。音質といえば、明らかに上質と感じた。なぜこんな違いが生まれるのか不思議だった。
さて、こうして姉妹は出会うことができた。でも、姉妹を作った職人さんは、すでに亡くなっていた。楽器の世界ではよくある話だ。でも、自分の技をずっと残る音の形にできるなんて、いいことだよね。
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