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映画 ゼロ・グラビティ 無神論的宗教性

できるだけネタバレにならない程度に抽象的に、、

後から気がついたことだが、音楽が全く記憶に残っていない。冷徹で切迫したリアリティ、の連続だけで観る者を引き込む映画だ。

この点でも「アナと雪の女王」の対極である。また、”アナ雪”で自我肥大した気分を冷やす意味でもお勧めである。

日本語の題名は、本質を大いに外してしている。やはり、この映画は、グラビティ/GRANITYである。最後のエンディングの、ヒロインのわずかなしぐさ、そこにこの原題の意義が発揮される仕組みになっているからだ。

宇宙の物理的空間は、全く無慈悲だ。善も悪もない。物理の法則にどんな願望も、祈りも通じない。ただ、合理的に行動する者のみ、生き延びる可能性がある。これが無神論的。

しかし、崇高なものへの畏怖、人の行為の崇高さは、この映画の見せ場である。そして、生きていること、生き続けること自体に大きな意味がある。これが、テーマなのだろう。これは、ある意味宗教的である。

それにしても、ヒロインの上官だが、この人できすぎている。上官というより、導師、まるで、宇宙の聖者だ。

宇宙空間にはじき飛ばされ、死ぬことが確定された宇宙飛行士が登場する。折しも、眼下ではガンジス河に朝日が差し込んでいた。そして、無線で最後に伝えられた言葉は、「It’s Amazing!」

この言葉には、崇高な美しさへの賛美とともに、今朝を迎えた無数の人々への祝福が込められていると感じる。この言葉、クールである。

こんな言葉がある。

中世の神秘的な思想家、M.エックハルトの言葉だ。

「今、あなたが絶望し、悲嘆にくれているのなら、このときにこそ、現実を恨むのではなく、あなたがこれまでどれだけの恩寵を受けていたのかを思い起こすがよい」

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