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アナと雪の女王 その5 歌詞と心理表現

つまり、主題歌、Let It Go の歌詞について。

これ、非常に内向的、鏡の中の自分に語りかけるような歌詞で、だからこそウケる。と、感じている。

率直にいうと自己愛なんだけど、とても共感できる状況設定があるから、多くの人に感じるものがあるのだろう。

心理表現として、見事な詩と感じる。その特徴は、といえば、”力動的記述”。先の記事にも書いたけれど、精神分析的な力の抑圧や解放、投影のイメージが鮮烈に表現されている。

"The wind is howling like this swirling stom inside"

"Couldn't keep it in"

風がうなっている、私の中の渦まく嵐のように

もう、抑えられない

画面の中ではエルサが力なく歩いている、しかし、エルサの中に抑え込まれた情念の力が暴走しそうになり、それは吹雪に投影される。

"Turn away and slam the door"

扉を回せ、バタン!と閉めよ

過去という拘束が切断される。

"It's time to see what I can do"

"To test the limits and break through "

時が来た。確かめよう、私に何ができるか

知りたい、力のすべて、それを超える更なる力

そして、自分が何者かを知る力が溢れ出す。

"I am the one with the wind and sky"

私は全きものとなる、風や空とも一つに

これは神秘的な合一感の表現。自我が溶け出し世界との境界がなくなっていく。精神分析的にいうと、自我境界の希薄化。

"My power flurries through the air into the ground"

"My soul is spiraling in frozen fractals all around"

"And the thought crystallizes like an icy blast"

"I'm never going back,the past is in the past"

私の力よ、空と大地を貫き吹き抜けよ

私の魂よ、氷の破片となり世界を回れ

この思いは結晶となろう、凍りつく旋風のような

もう帰るところはない、過去は過去に過ぎた

画面上では、エルサが決然と足で地上を踏み、氷の宮殿を創造するシーン。その力の具現化である。ビジュアル的にも圧巻。

原文では、4行ともはっきりと韻を踏んでいる。これは翻訳では表現できない。

groundとaround、blastとpast。

この効果は、高揚感をよく表現していて、原文で歌うことで発揮される。

"And I'll rise like the break of dawn"

闇から暁が生まれる、それが新しい私。(かなり意訳かな)

これでエルサは、本当の自分に成れた?それに答えたらネタバレだ。

ところで、このアニメはかなり意表をつくオープニングシーンがある。

そこでは、民族調の歌が歌われるが、その歌詞をよく注意すると、重要な伏線が隠れていることに気が付く。

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