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2014年3月

アナと雪の女王 その4 ルーン文字と古ノルド語

この物語は、架空の北欧の国を舞台にしている。アメリカ映画なので、英語を話しているけれど、本当は英語よりもっとコテコテの北部ゲルマン語を話しているはずだ。

エルサの魔法でアナが事故にあったとき、父がその対処法父の調べた古そうな書物は、それらしくルーン文字(RUNES)で書かれていた。実に細部まで楽しめるアニメだ。

他に、僕の知る限りルーン文字が登場するアニメはテレビ版の”ヒックとドラゴン”である。これだけでも”古風な北欧”を感じてしまう。

さて、言語学的に”そそられる”シーンはもう一つあって、エルサの戴冠式の祈祷の言葉である。もっと南のヨーロッパならラテン語が使われる場面だ。

ここでは、古ノルド語(古スカンジナビア語)が、実に”風味”があっていい感じである。もし、この言葉が筆記かれるなら、ルーンを使うのだろう。

このパソコンでは、ルーン文字を打てないので(当たり前である)、この祈祷文を仕方なくラテン文字で書く。

Sehn hon hell darr in-um hell-gum Ayg-num Ok Krund ee thes-um hellgah Stahth,ehk teh frahm fur-ear Uthear

意味?たとえばアイスランド語から切り込んでみるとか。なぜなら古ノルド語にもっとも近い現代言語はアイスランド語だそうだ。

ところで、余談。

こういった古い北欧語に魅了され、極めた上に自分で独自に言語を開発した偉大な言語学者がいる。かの、J.R.R.トールキンである。その成果の一つが、指輪物語(Lord of the Rings)。映画の中でもエルフの言葉として登場している。

アナと雪の女王 その3 分析心理学(ユング派)の視点

こういったファンタジー系のお話は、ユング的な解釈が向いている。以下、ネタばれ的要素があるのでご注意を。

”Let it Go”のitとは、普通に考えれば、エルサの封じられた特殊能力のことだ。これをユング的に解釈すると、コンプレックスである。

ユングのいうそれは、”強い感情を伴う複雑な無意識のしこり”、のこと。

人の心の成長には、こういった無意識の力との和解が避けられない、これがユングの視点。

実は、エルサの自我にとって脅威となる同じく無意識的な力がもう一つある。アニムスである。アニムスには、社会秩序の力といった側面があり、王族であるエルサにとってそれは特に巨大である。なんたって、王族は社会秩序の要なのだから。

エルサのコンプレックスを封じ込めていたのは、まさにこれなのだ。

エルサの戴冠式に、エルサの力が暴走を始める事件はとても象徴的である。

壊れた無意識の均衡が修復され、エルサがより統合された心を取り戻すきっかけとなったもの、それは純粋な愛であった。

なんともベタな展開だが、それをそう思わせないのがこの物語の醍醐味である。

伏線的に、王族間特有の偽りの愛を演じたハンスの役割は筋書き上立派である。

物語をかく乱させながら調整させる役割を持つ愛すべきトリックスターといえば、雪だるまのオラフ。

凍りついた世界の中で、あの炉辺の光景は印象的だ。ファンタジーによく使われる設定だが、静かに物語の重要な展開を予兆するのは、ほのかな炉辺の灯りの光景なんだね。

ほんとうの愛を語る雪だるまなんて、かえってグッとくるものがある。

かくしてエルサは、自分らしい形で王位につき祝福される。

これは、ユングのいう個性化(individuation)=心の全体性の獲得そのもののように見える。

でもね、アンナは伴侶を見つけたのに、エルサはひとりか?って、いや、完結しきれないから物語は続く、、アニメみた人のそれぞれ中で。

アナと雪の女王 その2 マイノリティへの視点

引き続き、Let it Go なのだが、日本語歌詞(高橋知伽江作詞)では、

「ありのままの姿みせるのよ、ありのままの自分になるの」が重要なメッセージ性を表現している。

それは、自分探しの答え、日本的な、現代的な感じ方と思う。同時に、その背後には、強い不適応感が見える。この感覚を映画に重層するためには的確な表現だ。

以上は、現代若者論だが、別途、思い出したことがある。

以前の職場でのエピソードだ。魔法を使ったわけではないが、この歌詞にピッタリの出来事。

あるおじさん職員が、ありのままの自分になって出勤したそのときの様子、それは女装であった。

妻子もあったらしいが、このアニメの英語歌詞でいえば、The Past is in the Past/過去は過去でしかない、ことになった。

いままでの自分を演じ続けること、それは、Heven knows I tried/私がどれほど試みたか天のみぞ知る、ほどの努力であったと推測できる。

突然の出来事に、周囲は、まさに”FROZEN”(このアニメの本来の題名)となったが、だからといって解雇される理由はない(女装禁止の職務規定はなかった)。退職は別の理由だがここでは伏せておこう。

ともあれ、”性同一性障害”であった。

性的マイノリティをそのまま受け入れる、という課題が日本でも取り上げられているが、このアニメはこういった視点も多分意識しているのだろう。アメリカ発だし。

アナと雪の女王 その1 Let it Goで多言語

子守の都合上、春休みのアニメを3部観た。アナと雪の女王もその一つ。

このアニメは、ミュージカル調の見せ場が多く、中でもエルサ(雪の女王となるアナの姉)の独唱シーンは、非常に劇的な構成に仕上がっている。

この部分だけが試供版として、ケーブルテレビで無料提供されているが、テーマソング、Let it Goの歌詞が25ヶ国語のリレーで歌われている。

この言語それぞれの比較だけでも、実に興味深い。歌い手がそれぞれエルザになりきっているので、同じ声のトーンで聴くことができる。だから、言語の違いがそのまま分かるすぐれものだ。

さらに上の行く楽しみは、YOUTUBE にあった。より特殊な言語も含め、世界中から競って歌の全歌詞でアップロードしているから。

さすがに、古典ギリシャ語、サンスクリット語はないし、ウェールズ語もなかったが、なんと、このブログでも扱っているアイルランドゲール語、ラテン語の「Let it Go」も見つけることができた。

ちなみにゲール語のLet it Goは、”Lig e' Dul”、ラテン語は、”Fugio”と訳されている。ゲール語は直訳に近いが、ラテン語では、単純な意訳だ。

Fugioは動詞で、(私は)逃げる、避ける、はねつけるの意味になる。

僕自身の好みとしては、その鋭い語調がこの氷の造形シーンに合いそうな、ドイツ語バージョンかな。

視線の心理学 その1 いないいないばあ

街角で、後ろ向きにだっこされた乳児、ベビーカーの中で退屈そうにしている乳児など、何気なく視線が合うことがある。

わざと変な顔をしてみたり、時にはあの技!「いないいないばあ」をしてみると大いにウケたりする(アブナイ大人とされないことに注意が必要だが)。

こんな無力な人生の始まりであっても、人間の子どもは人の視線に明敏な感受性を持ち合わせていることは驚きである。また、視線が合わないことは深刻な問題を含みうる。

裏を返すと、ヒトの社会生活上、視線の重要性は際立っている。物理的に、極めて小さな動作であるにもかかわらず。

人間類似のロボットの開発が進んでいるけれど、おそらく視線は最後の課題の一つとなるだろう。

いないいないばあ、は絵本の名前でもある。昭和の時代から圧倒的な版を重ねているが、内容は極めてシンプル。動物たちのいないいないばあの連続だ。それでも、子どもは面白くて仕方がない。

思うに、これも視線に関わる問題だ。もちろん、表情も含むけれど、視線が合ってこそ、表情の意味が加味されるのではないかな。

そして期待どおりに、出会いが続くこと、これが子どもたちのワクワク体験。

視線は言葉以上の情報を含みうるけれど、普段、言葉ほど配慮されていない。それほど、”自然”なわけだ。この場合、自然とは、文化を超えたHuman Nature の意味でもある。

ラテン語の世界 その21 アクアスキュータム/AQUASCUTUM

もちろん英国の著名なブランドである。

この名称は、AQUA+SCUTUM から成り立っている。

AQUA/水、SCUTUM/盾 である。つまり、水盾って一種の造語である。

よく知られているように、この会社はトレンチ・コートで名を成したが、その防水性がブランド名に反映しているわけだ。

そして、そのロゴにもラテン語の座右の銘(motto)がある。

この写真は、デパートで見たもの。盾に水滴もあしらわれている。

Aqua

”IN HOC SCUTO FIDEMUS”

直訳では、”この盾の内を我々は信頼する。”

つまり、防水性への自信を宣言した言葉である。

文法的には、IN HOC SCUTO /この盾の内

INは、ほぼ英語と同じ。この前置詞に対応し、SCUTUM→SCUTOと名詞が語尾変化。

HOC(指示代名詞)/この もHICが同様に変化したもの。

FIDEMUSは、動詞FIDO (信頼する)が変化したもの。この変化形は、一人称複数なので、”我々”の意味が含まれている(ラテン語は主語を省略できる)。

辞書的には、FID,,,は信頼、自信、誠実などに関連した言葉の頭の部分だ。

英語では、Fidelity /忠誠、忠実なんて言葉になっているが、これは著名な投資会社の名前でもある。

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