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2013年7月

メリダの森の歩き方 その2 父ファーガス

このアニメが良くできている点の一つは、お子様ばかりでなく、その親にうけることも配慮していることだ。

俗にいえば、縁談を蹴飛ばす娘に翻弄される両親の物語、そのものでもある。親としては身につまされる?

この母と娘の確執なんて、まさによくある話。女どうしだから、根が深かったりする。

メリダの父は、ファーガスという。豪放そのものなのだが、意外と細やかな気遣いがあったりして。

メリダへの対処に悩む妻(エリノア)相手に、ロールプレイまでしている。カウンセラーの役割だ。

ところで、ファーガス(FURGUS)って名前、ゲール語由来だ。意味を分解すると、Fear/男+Gus/気骨のある、勇気のある となる。

スコットランドではよくある名前なのだが、そのキャラにうまく整合させているわけ。

僕的に、父親視点から、思い入れの深いシーンがある。

ハイライトシーンだが、メリダの放つ「運命の矢」の場面。

恐ろしくリアルな描写は、引き絞られた矢の矢羽がメリダの頬をかすめ、血のにじみの直線を描く様子だ。

このシーン自体極めて劇的なのだが、伏線が最初にある。

それは、父がまだ幼いメリダ(うちの娘に重なる)に、母の反対を押し切りおもちゃの矢(かなり本物だが)をプレゼントする場面。さっそくメリダは射撃に興じるが、父は、しっかり頬まで引くことを教示する。

つまり、成長したメリダは(いつもは親の言うことを聞かないわがまま娘だが)、この教えをしっかり守って自らの運命を切り開くわけ。

以下長い余談、

うちの娘は、保育園のお友達兼、暴力小僧たちのイジメにしばしば遭っている。そこで、護身術のトレーニングをすることにした。

あまり本格的に仕込むと、お友達の腕をへし折りかねないので、そこは幼児向けに。

先日保育園にお迎えにいくと、やってるやってる、うちの娘は、パンチ攻撃の連続を跳ね返していた。なかなか、ぐっとくるシーンである。

昨夜も新しい技を仕込んでおいた。今日も立派に人生の戦いを演じていることだろう。

最後に一言、このアニメの原題は、実にシンプル。「BRAVE」である。

メリダの森の歩き方 その1 ハイランド

つまり、ディズニーアニメ、「メリダとおそろしの森」記事である。

このアニメ、ディズニーのお姫様シリーズの一つなのだが、全く異色。おとぎの国の話じゃなくて、時代と場所、文化、民族性を明確に表現している。

スコットランドは島嶼地域とハイランド、ローランドに分かれるが、このアニメの舞台は中世ハイランドだ。アニメの中でも、豪快な山並みを堪能できるが、これがまさしくハイランドの風景。

写真を載せてみた。ハイランド南西部のグレン・コー(Glen Coe)だ。かすかに山腹に滝も見える。このアニメでも滝の描写があったが、たどり着けたら大したもの。

Photo

先のアイルランドの記事で、「Glen」は渓谷と説明した。こっちも、「Glen」。すなわち、同じ言語文化圏ということ。その違いは、アイルランド・ゲール語とスコットランド・ゲール語 である。

グレンコーといえば、歴史上、グレンコーの大虐殺、とくる。これは、イングランドが黒幕となってハイランド氏族間に虐殺事件を起こしたもの。

氏族(Clan)、これがこのアニメを理解するキーワードでもある。ハイランドの氏族社会って大陸やイングランドの封建社会とはかなりテイストが異なっている。

巨大家族みたいなイメージだ。メリダは王女、と表現されているが、族長の娘に近いと思う。とても、シンデレラ城で舞踏会なんて柄じゃない。

この物語は、氏族間の通婚のエピソードでもある。

メリダに求婚する男たちは、それぞれの氏族の長の長男、とされているが、その氏族は、マク・ガフィン、ディンウォール、マク・キントッシュ。それぞれ、タータンの柄で区別されている。

これ、実在の氏族だろうか、なら、タータンも本物の柄だろうか、と気になっているがまだ調べていない。

ところで、氏族名の「Mc(マク)」だけど、ゲール語の「息子」が元の意味。つまり、始祖から始まる血縁が意識されている名前(姓)だ。この点でも、大家族性のテイストが伝わると思う。

氏族間で、戦争したり、協力したりややこしいのが氏族社会なのだが、このように中央集権化できないところが、ケルト人の伝統?でもある。

個々の武勇はスゴイのだけど、なかなか組織化できないので、古くはローマに敗北し、英国では、イングランドに制服されてしまうわけ。

この歴史を知ると、氏族間に和解を求めるメリダの叫びは、より痛切に響くことだろう。

最後に余談、

このサイトで最も読んでもらっている、「アイルランドの歌 Mo Ghile Mear(モ・ギレ・マー)」

の記事なんだけど、この歌の背景は、ハイランド氏族社会の壊滅である。その結果を一言でいえば、「近代化」。

僕としては、戊辰戦争の会津状況と重なって見える。

アイルランド極上の夏 その13 渓谷を行く

N59は、ゴールウェイ、クリフデン、ウェストポート、そしてスライゴーを結ぶ主要な幹線道路だ。主要な街をたどりアイルランドの北西地域をドライブするならこの道がいい。

ところで、クリフデンからウェストポートに向かうルートは、県境の山岳地帯を突き抜けるが、このあたりの風景は一見の価値があるだろう。

より楽しむためにお奨めのわき道もある(前回も脇道ネタだったけど、海ではなく、こっちは山の脇道)。

その名は、Doo Lough Pass。Loughは湖で、Dooはその名前。それは蒼く冷たい渼(さざなみ)の立つ細長い湖だ。人家どころか、周囲に視界をさえぎる木もないので、実に見通しがいい。

この道は、この湖の脇に沿って、左右の切り立った山の間を通っている。湖畔の風は夏でも冷たい。つまり、Glen(渓谷)の道なのだ。なかなか壮大な景色なのだが、大きすぎて写真に収めることが難しいうえ、日当たりも悪いのでなかなか撮影チャンスに恵まれないでいる。

景観はささやかだが、その手前で撮った写真を載せてみた。

Photo

岩山、牧草地、川、アイルランドの原風景って感じだろうか。でも、民話的な心象風景を求めるなら、草葺・白壁の家とかほしいところ。

川で洗濯していたら、大きなモモが流れてくる?アイルランド版ならどんな話になるのだろうか。

アイルランド極上の夏 その12 晴嵐の城 Easkey

北アイルランド、スライゴー(Sligo)の海岸にある城である。地名にちなみ、Easkey Castle と呼ばれるが、別名もある。

メイヨー県からスライゴー県の北部をよぎる幹線道路N59を外し、海岸線を走るR297に入るとこの城が見えてくるだろう。ランドマークの乏しい地域なので、分かりやすい。

Easkeycastle

地域の族長(Chieftain)が900年前に建造したとされる古い城であるが、保存状態が良い。アイルランド本来の無骨な様式(タワーハウス型)だが、その高さは有数かもしれない。

それにしても、この暴風。カメラを三脚に固定することもできない。岸壁に這いつくばって撮影するが、見る見るフィルターに塩が固着していく状況だった。

日本でいえば、台風の海、けど、アイルランドではよくある海。

ところで、城の脇の建物は?といえば、海水浴場の施設である。さすがに人はいなかった。

地図上は、オートキャンプ場として表記されている場所、城の記載はなかった。

ここで少しアイルランド旅行の基本ガイドをしたい。この程度の城は、かなり詳細な地図でも記載されていないことが多い。その意味で思わぬ発見もあったりする。

雨と風、田舎を旅するなら対策が必要。登山の楽しみがない人でも、旅行前にアウトドアショップで防水性のあるパーカーとか、靴とか準備した方がいいかも。

アイルランドで傘を差す人は少ない。風を伴うことが多いからだ。

矛盾するようだが、日焼け対策も夏なら考慮に値する。雨が多いとはいえ夏の日照時間は長く、太陽が低いので、車の中でも日焼けするし、田舎はほとんど平原なのでさえぎるものがない。自動車を運転するなら、サングラスも欲しい。

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