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2013年5月

アイルランド極上の夏 その10 RATHMULLANの虹

北アイルランド、ドネゴール地方の小さな街ラスムレンで、海から立ち上がる虹を見た。

一年中にわか雨が降っているアイルランドで、虹を見ることはたやすいが、撮影となると、なかなか難しい。古城などの背景なら最高だけれど。

Rainbow

地味で小さな街だが、古い修道院の廃墟がある。地名のRATHは、アイルランド特有の円形城砦のこと。しかし、その遺構があるわけではない。

観光ガイド的には、近くに古城つき風光明媚な谷間として、GLENVEAGH(グレンヴェー)国立公園がある。

この地域の魅力といったら滅多に日本人が来ない、ことである。民宿に泊まったら近所のおじいさんがわざわざ会いにきてくれた。ローカルネタ満載の囲炉裏端、じゃなかった、暖炉端のお話に、こっちは柳田國男になった感じ。

GLENVEAGHの城の見学では、ガイドのお姉さんがこの一目で分かる「ガイジン」(僕です)にいろいろ気を使ってくれた。「英語ばっかりですいません」とか。

民宿のおばちゃんは、英語で俳句を作ることが趣味。本場!から来た客なもんだから、大歓迎であった。こっちも、一句「秋近し、子猫の眠り 暖炉燃え(コレを適当に英語翻訳してみた)」。

そんなこんなで、地味だが印象深い街になった。

ラテン語の世界 その13 シンデレラと家の神

シンデレラ(CINDERELLA)、別名灰かぶり娘。彼女は、なぜ特別な力の援助を受けたかって、それは別名がヒント。

英語でCINDERは「燃えかす・灰」だ。元をたどれば、ラテン語のCIN‥‥。灰に関する言葉は、CINで始まっている。たとえば、CINEROSUS、灰でいっぱいの、とか。

灰かぶりで惨めだったから、報われた?いや、さらに一ひねり。

辞書で見つけたこんな言葉がある。古代ローマの家庭と炉の神「VESTA(ウェスタ)」。女神である。

家事にこきつかわれ灰にまみれたシンデレラを救った妖精の原型がこれなのだろう。

神→妖精?これは格下げされたからだ。よく知られた世界史の知識からすると、古代ローマでキリスト教が広まり、最初は弾圧されるわけだけれど、やがて国教に昇格する。

キリスト教は一神教だから、それまでの神々は信仰の対象から排除されてしまう。で、妖精とかよくも悪くも魔力を持ったものになっていくわけだ。

日本の民話、民俗でも、竈の灰が特別な力をもたらす、みたいな話があったように思う。こういった共通感覚を探してみるのも面白い。

もう一つ古代ローマの神様を挙げるなら、「LAR(ラール)」。これは家庭の守り神。これを祀る「LALARIUM」は、まさしく神棚である。

ところで日本の建売住宅なんか見てると、こういった神様たちの居場所って、ない。これって「合理性」を”信仰”する結果。ある意味、貧しくもあったりして。

シンデレラの話は、シンデしまった?あー、くだらない?けど、ラテン語でCINISは、灰の意味のほか、墓の意味もある。

アイルランド極上の夏 その9 古い墓地

ドネゴール(Donegal)で道に迷っているうちに、古い墓地に行き着いた。このあたり、アイルランドでも北のはずれに位置し、その風景も寒々としている。

アイルランドで道に迷ったら、それは何か不思議に出会う予兆かも。詩的に表現しよう。地霊の導き、とか。

Oldcross_2

後の巨木は、イチイの樹だ。これは、墓地の象徴とされる。さて、手前に石が立っている。人工物である。が、極端に風化している。

何かといえば、十字架である。アイルランドの十字架といえば、壮麗なケルト十字架が有名だが、これは特に古い初期の素朴な様式だ。特定の墓ではないだろう。かつての特別な信仰の場であった証と考えるべきと思う。

実に古い。十字形がかすれるほどの年月とはどれほどだろう。おまけに、後から付け足したのだろうが、石の塚まで供えられている。

誰もいない荒野で、古代人の残したメッセージに向き合う瞬間。これがアイルランド旅行の醍醐味の一つ。

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