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2013年2月

ラテン語の世界 その10 愛と存在

cogito, ergo sum.「コギトエルゴスム」

私は考える、ゆえに私は存在する(直訳)。よく知られたデカルトの言葉だ。

哲学的には、「私」が重要だ。この言葉をもって近代的自我が思想史的に題材となったとされている。

でも、ラテン語の言葉として、この文章には「私」は直接出てこない。

それは、cogito(考える) 自体の活用形に「私」の意味が含まれるからだ。

sum、も同様。これがいかにもラテン語的。

いかにも哲学者が好きそうな「考える」を別な動詞にしたらどうか、って余計なことを考えてみるのも面白い。

たとえば、amo「アモ」。愛するの一人称だ。

amo, ergo sum. 私は愛する、ゆえに存在する。

いかにも愛に生きている感じで情熱的じゃないかな。存在することが、生きた実感として伝わる感じ。

別な哲学的意味が加わりそうだ。

愛する対象があってこそ、自分をはっきり意識する。

自分とは、それ自体で確立したものではなく、愛するとか心の志向性、他者との関連において存在するのだ、ってこと。

心理学に応用してみよう。

よくいわれる、「自分探しをする人たち」。その特徴は、自己愛じゃないか。

自分のことしか見ていないから自分が分からない、、か。

自分の殻を破る力、それはたとえば「愛」とか。

もう一ひねり、ラテン語を作文してみよう。

amas,ergo es.「アマスエルゴエス」。amo、sumを二人称にしてみた。

貴方は愛する、ゆえに貴方は存在する。

体罰の文化史

今、学校での体罰が問題になっている。柔道界もそう。少し前は、相撲界だった。これは、一連の流れのように思う。

法律学の用語で、「部分社会の法理」。もっときわどいものが、「特別権力関係」ってものがある。前者は、主に学校、後者は刑務所が主な適用場所だ。今では判例上、正統な主張と認められなくなっているけど。

つまり、社会を一律の基準で考えるべきではなく、それぞれの部分社会での「流儀」をそれなりで認めようとする立場もあったのだが、やっぱりそれはおかしいとなってきたわけだ。

封建主義社会なら、まさに公家社会、武家社会、町人社会とか、複合社会が当然だったわけだが、さすがに21世紀になって「社会一律の基準」が求められるようになったわけか。

すなわち、これが近代化の一側面。明治維新でいきなりってわけではない。

だからといって、体罰そのものが、封建主義の遺物というわけではないだろう。スポーツ界での体罰の伝統は、それほど古いものではなくて、軍隊から継承されたと考える方が自然だ。直接聞いてる話もあるが、やはりそれはすさまじい。

一方、封建的軍事制度で、足軽がボカボカ殴られ気合を入れられていた、なんて記録は聞いたことがない。元から絶対的身分関係が確立しているなら、こういった体罰はむしろ発生しないのだろう。

近代国民国家の徴兵制で、男なら当然に、軍隊に入れられ、一から上下関係を叩き込むうえで、おそらく日本流の体罰の伝統ができていった、と思う。

だとすれば、ある意味少なくともスポーツ界の体罰の伝統は(なんと女子まで対象)、近代化の副産物みたいなものじゃないかな。

こんな考察は体罰防止策には応用できないだろうけど、日本の文化の裏側に目を向ける機会がもっとあってもいい。

以下余談。

旧日本軍といえば、太平洋戦争中、連合国側まで感銘をあたえた駆逐艦の艦長がいた。その名は、工藤俊作。興味のある方はその経歴を調べてみるといい。この人、体罰否定論者でもあった。その部下をまとめあげた手法は、「徳」であったとぼくは理解している。

プラトンとレスリング

今日の日経新聞、「春秋」をネタに書く。

昔昔、ギリシャのアテナイに肩幅の広い立派な体格の少年がいました。この少年の素質に目をつけた体育の先生が、レスリングを教えたところ、めきめき上達し、レスリング大会で優勝するまでになりました。

彼はやがて哲学の師匠も見つけました。この師匠とは、名だたる歴戦の勇者でもありましたが、政争に巻き込まれ、処刑されてしまいました。

当時、彼は文芸の道を志ざし、演劇の台本を書いていましたが、この事件から一転して哲学者になり、後世に多大な影響を与え続けます。

彼のあだ名はプラトン。この名前は肩幅の広さにちなんでいます。

プラトンといえば、教科書的にイデア、もう一つキーワードをあげるなら、「調和」だと思う。レスリングの逸話からすれば、肉体と精神の力動的調和だよね。

オリンピックとレスリングの問題はさておき、この観点からすると、柔道界と体罰問題かな。

武道の道は、精神性の表現のはずだけど。

ラテン語の世界 その9 ネーミング

日本語には、カタカナって表記法がある。で、日本人は外来語がなんだか大好きなので、やたらにカタカナ言葉が氾濫することになる。たとえばネーミング(おっと、批判するつもりが、こうやって自分でも思わず使ってしまう)。

さすがに、自分の子どもにカタカナ名をつける人は少ないものの、会社名とか商品名のカタカナ比率は相当なものだろう。

おまけにインターネットの普及で、即、検索もできる。まだ使われていない名称にこだわる人たちが多いものの、英語のカッコよさげな名称は大抵、使われているといってもいい。そして、和製カタカナ造語が普及、というより乱造。

また、英語は普及しすぎて高級感が低い?なんてヘンテコな一般感覚もある。

たとえば、集合住宅の名前や服のブランドとか。

○○○ハウスより、カサ○○○ はカッコイイのか?

では、CASA、って何語なのか。

スペイン語でも、イタリア語でもCASAは単に「家」である。

語源的にいえばラテン語で家がCASAだから。

ついでに、わかりやすいラテン語で薔薇はROSA(ロサ)。これ、英語のROSEから推測できるので、名づけに応用しやすいだろう。

では、賃貸アパート、たとえば○○荘の名称だけ変更してみたらどうか。たとえば、名づけて、「CASA ROSA」少なくとも、物件を見に来てくれる人は増えそうだ。

不動産屋さんは、お客にこのように言うといい、「いい名前でしょう。”薔薇の家”なんですよ、夕日に当たって照り映える様が薔薇色なのです、、」とかなんとか。

そうすれば、(あくまで例だが、)西日しか当たらない家、と説明するよりずっといい。

ところが!どんな言語だって二つの名詞をそのまま並べると、大抵おかしなことになる。つまり、文法の問題だ。上の場合は、「の」をどうするのか。

あくまで家「CASA」が主体だろうから、CASAはそのまま。薔薇の、と意味するためには、語尾が少し変化して、「ROSAE」。

正しく表記すれば、「CASA ROSAE」 になる。

文法とかこんなこと、国内の集客には全く関係ないけどね。しかし、世の中グローバル化って騒いでいる割には、外国語の使い方が大雑把すぎじゃないか、と思う。

たとえば、カタカナ言葉をつぎはぎした、得体の知れない会社名でグローバル企業の目指しますって、可能なのか。

カタカナ造語のつもりでも、辞書を引いたらとんでもない意味になってる例もあったりして。

ラテン語には、英語にはない厳密さや普遍性がある。第一、読み方に困らない。その意味、日本のネーミング文化に活用可能性があるだろうね。

三河紀行 その1 西浦半島

新年最初のブログ記事なので(すでに節分を過ぎているが)、日の出直前の写真を載せてみよう。

場所は愛知県西浦半島の先端から。三河湾に突き出たごく小さな半島だ。西浦温泉といってもいい。温泉街と呼ぶには大げさだが、先端に宿泊施設が多くある。

Nishiura

手前によく整備された海水浴場がある。白砂だ。それは花崗岩由来だからだろう。

一方、関東の海水浴場の砂は通常黒い。玄武岩系だからだ。

向こうには、三河湾の島々や渥美半島が見える。三河湾の島といえば、篠島。特産のワカメやシラスにより、この地域ばかりでなく、東京圏の食材の供給にも一役買っている。

できたら愛知県の地図を思い描いてほしい。東に渥美半島、古代の海民の名にちなむ美しい半島がぐっと伸び、西に地味だが国際空港付きの知多半島がこれに応じるように海を囲んでいる。

そして、両者の中間にチョコンと、西浦がある。行政区分では蒲郡市。この地域は、三河のディズニーランド?、ラグナシアがあり、水族館もあれば、競艇場もある。他クルーズとか大規模商業施設とか、それなりの海岸リゾート地といってもいい。

海の食材が豊かだ。黒マグロが続々水揚げされる、、ような豪華さはないが、あの手この手のおつまみ的に豊かなのである。たとえば大アサリ、これが特にいい。エビの加工品の多様さも他に類を見ないだろう。

言い方をかえると、半島に囲まれた豊穣な多島海。これが三河湾。

オマケで日本史を少し。ここから少し西に吉良町がある。赤穂浪士の忠臣蔵が日本で最も人気の無い地域である。

だって「吉良」だから。

この人、塩田開発に業績のあるそれなりの名君であった。また、小さな藩だが、この殿様は幕府の折衝役として、国内のその他勢力との調整に手腕を発揮していた。つまり、実務的文化人である。なんで襲撃されたのか。

本来、徳川のお膝元的な三河。江戸期は小藩乱立なのだが、それぞれユニークなカラーがあったのかも。また、忘れてはならないが、海の三河もあれば、山の三河もあること。

いや、世界の三河もあったりして。あのトヨタ。豊田市だね。

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