オリンパス事件について
世界が注目するこの事件、実業ネタはこのブログの例外だけれど、少し書く。
国際基準でキモイです。だから、日本の上場企業の信頼まで問われている。世界的企業の統治が、オジサン(経営陣)たちの、親密な、隠微な個人的関係で損なわれていたわけ。
このオジサン関係が、20年間重大な秘密を隠していた。表向きの文化、すなわち会社法、国際会計基準とか公的なものの裏側に”隠された文化”が存在していた。
グローバル企業に、しがらみフリーの外国人社長を迎え入れた、しかし、この人はこんな世界があるとは思ってもみなかった。「なんだこりゃ!」これが事の発端。
日本独自の企業文化には、注目すべき利点もあるのだが、これはまずい。企業の存続ミッションに関わるからだ。分かりにくいねちっこい人脈関係が、本来の企業ミッションに優先されてしまったというわけだろう。
僕は、岩崎弥太郎のことを思い出した。この人、日本の大企業の先達みたいな人だが(三菱を創った)、とても泥臭い、発想の経営者であった。ライバルのモダンな渋沢栄一とは対照的。
彼の経営は、分かりやすい。ざっといえば、
企業は俺のもの
俺がすべてを決める
そしてこの俺がすべての責任を負う
このあたりは、今でいう定款にも書いてある。そしてそのまま実行した。
で、彼にとって企業の目的は、国家に奉仕すること。
だから、軍需産業化もしたのだが、いつの時代であっても、こういった明快さは重要だと思う。
ところで、オリンパスの企業理念は、「Social IN」、とされている(この英語、シャラ臭いなあ)。なんてこった。
古風にいえば、これが”大義”。経営陣間の忠義は存分にあったかも知れないが、さらに古風にいえば、「忠義は大義あっての忠義」。
僕自身、オリンパスの製品自体に、悪いイメージはない。カメラ好きだし。ただ、一般論として家族でもないのに、オジサンたちがやたら徒党を組む組織風土ってものに嫌悪を感じる。この点、女性の社会進出は歓迎。組織文化も風通しがよくなると思う。
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