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神々(こうごう)しい人たちとM.エックハルトの言葉

よりによってこんな時期、事前の予定によりうちの娘が手術を受けた。余震の続くなか、国内最大の小児科病院でしばらく付き添いを続けた。

全身麻酔が切れたらもうたいへんだ。制止を振り切り、点滴を引っこ抜き、血まみれ状態。これにはまいった。点滴には痛み止めも含まれているのだから、自業自得となる。結果、夜中まで泣き喚くことになった(服薬まで抵抗)。

しかし、この病院にはふさわしくないほど元気な患者ではある。壮絶な闘病生活を続ける子どもたちを見た。ずっと機械に固定された赤ん坊だっている。泣き叫ぶ元気があるなどありがたい。舌下の大きめの腫瘍(良性)を切除したのだからさぞかし痛いだろうけど。

重い症状の子どもたちがひたすら今を耐えている。かわいそうとかそんな次元、つまり大人が上から見るようなものではなく、むしろ崇高さを感じさせてくれた。

明日のことは分からないが、ただ今を生きるということ、この子どもたちにはこれが崇高な責務なのだ、と思った。

大震災があった、いや、まだ継続中というべきだろう。廃墟のような病院で子どもを産んだ母親がいた。消防士たちは、津波に向かって急行していった。今も、放射線に焼かれながら作業をしている人たちがいる。冷たい浜辺で、瓦礫を掻き分け家族を探している人たちもいる。

あの日、あの時、うちの娘は保育士の先生にとりすがっていたそうだ。幸いうちの娘の保育園に被害はなかった。しかし、東北では、そのまま津波に飲み込まれた保育園もあったに違いない。その時、保育士の先生たちは、立派にできるだけの責務を最後まで果たしたに違いない。

なすべきことを受け入れ、正しく全うしようとする人たちの姿は、とても神々しいと思う。

M.エックハルトの言葉を思い出した。

エックハルトとは、中世ドイツの偉大な神秘家であり、かつ教会からは宗教上、最も危険な思想の持ち主とされていた。

エックハルトいわく、「神は貴方より、貴方の近くにいる」

(確かにあぶない人ではある)

非常に神秘的で、直感的な言葉だが、感覚的な意味で、この時期だから、わかる。この言葉、いつでも神様は貴方とともにある、ってメッセージを独特なレトリックで強調したものでもあるが、もう一つ深い神秘的な意味もある。

それは、誰もが、尊いものを宿していて、それは薄っぺらな自我なんてものより、本質的なものである、と解釈できるだろう。この思想は、崇高な行いをした人々を最大限讃えるものでもあるし、誰でもその素質を持ち合わせていると説いている。

事実、今回の未曾有の災害に対し、多くの人たちが、その身をもってこれを示してくれた。

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