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お盆のこと

もうすぐ旧盆の季節なので、お盆について書く。

江戸時代の奉公人には、週休なんてものはなかった。日曜日は休みなんて、明治以降の習慣である。これは古代ユダヤ教に由来している。ローマ時代のある文献には、ユダヤ人は7日中の1日を休む怠け者だ、と記載されているそうだ。これがキリスト教に受け継がれ、宗教性抜きで日本でも取り入れられた。

江戸時代の奉公人では、盆と正月には帰省できることが慣例。盆は特別な休暇なのである。何が特別かといえば、祖霊たちを迎え入れるための期間だから。つまり、これも宗教行事なのだが、本来の仏教とは言いがたい。

江戸幕府は、江戸の町の膨れ上がる人口と発生するゴミ対策に頭を悩ましたが、特にお盆の季節は、大量のゴミ(お盆の祭祀に関連するもの)が発生し、ゴミ政策を加速することになったとされる(おかげで埋立て地が増えた)。江戸庶民も、お盆には力を入れていた証拠である。

日本の風習に従えば、お盆くらい祖霊のたちと過ごしましょう、ってことだ。故郷(田舎)とは、本来そういう場所だろう。宗派にもよるけど。

いわゆるハローウィンは、日本の盆に似ているという指摘がある。けど、本質的に異なる点は、死者たちのありがたさ、である。ハローウィン的には、気味の悪い連中にすぎないが、日本では、ご先祖様である。

つまり、ご先祖様を敬えばいいこともあるし、それが義務でもあるという発想。たとえば、遺言書の条文の中に、祭祀の継承者を指定を入れることも多い。もちろん、この文化は、家族制度の変化によって、薄らいできてはいる。もし夫婦別姓なんて導入されれば、さらに加速するだろう。

霊能力者なるものが、テレビに出て芸能人の守護霊様のお告げを伝える、なんて番組もあったが、これも日本の祖霊崇拝の新バージョンにすぎないと思う。むしろ、”普通”にご先祖と向き合う文化的仕組みが解体しつつあるから、こういった新バージョンができるのだと思う。

少なくとも、亡くなった人たちにアクセスする回路を絶たれ、自分のルーツと縁もゆかりもなく、全く自律した個人で生きていくようなライフスタイルは、精神的に健康ではないのでは、と僕は思っている。ぼくは、これを”むき出しの個人主義”と呼んでいる。

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