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新社会人のためのプラトン主義入門 その5

プラトンの著作のハイライトはソクラテスとソフィストたちの対決と先に書いた。ソフィストは一種の悪役を演じている。そこにソクラテスが切り込むという筋書きだ。この点、プラトンに批判的なB.ラッセルは、「プラトンが悪意をもってソフィストを描いているが、それでも彼らの言説には輝きがある」と述べている。

この問題の背景には、哲学以前の問題もあると思う。それは両者の生活基盤の問題でもある。ソフィストたちはアテナイ人たちに弁論術などを講じて生計を立てている。つまり、今でいえばフリーランスのコンサルタント、弁護士等の立場に近い。これは、お客様あっての商売である。

一方ソクラテスは、働く必要のない貴族的な立場にある。兵役等アテナイ国家の市民的義務に対し、タフな戦士を演じることがあっても、ふだんは市民相手の論争に明け暮れている。

ソクラテスのソフィストたちへの突っ込みは、正義や真理の問題が先決なのに、白を黒と言いくるめるようなことばかり教えている、これでは善き市民が育たないではないか、ってこんな感じである。

そうは言ってもね、営業職するなら、うまいこと言わなくてはならないし、弁護士はとりあえず凶悪犯罪者を弁護しなければならない。社会は役割演技で成り立っている、これは事実である。職業を持つ立場なら、避けられないことだ。

かといって、会社の組織犯罪の片棒担がされても困るだろう。どこまで妥協を正当化するか、社会人には、微妙なバランス感覚が必要だ。これが大人になることでもある。

世の中には、あたかも正義と一体化したような陶酔感をもって市民運動とかに熱中する人たちがいるがかえってうさんくさい。かといって、小ずるく、無節操に生きることは、幸福でもなく、やがてその所業はわが身に返ってくるだろう。

一般人にできること、それは身の程をわきまえながら、無理なく誠実に生きること。長続きするビジネスもこんなものである。

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