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アイルランドの湿原を行く モウセンゴケ(Drosera)のこと

アイルランドの国花、シャムロックは日本でもごく普通に見られる。少なくとも、関東近辺なら、その辺の海岸、川岸の野原に生えている。これをありがたく感じるかどうかは、その人の心情次第。日本では、ただの帰化植物である。

日本とアイルランドで一致する原生植物は、似たようなものがあっても正確にはほとんどない。しかし、少なくともモウセンゴケ科に2種ある。やたら種子を飛ばすわけでもなし、なぜ、北半球の向こうとこっちでこんな特殊な植物が一致するのか、不思議である。途中のシベリアなどにもあるが、変化(進化)しにくい植物なのだろうか。

この2種とは、モウセンゴケ(Drosera lotundifolia)、とナガバノモウセンゴケ(Drosera anglica又はlongiforia)だ。アイルランドにはもう一つナガエノモウセンゴケ(Drosera intermedia)が自生しているが、これは日本にない。日本では、サジバモウセンゴケというものも知られているが、独立の種ではなく、モウセンゴケとナガバノモウセンゴケの自然交配種であり、種(タネ)で増えることができない。理屈のうえでは、アイルランドでもありうるが、僕は文献上見たことがない。

おまけにいうと、日本にあってアイルランドにないモウセンゴケ類は、コモウセンゴケ、イシモチソウ、ナガバノイシモチソウである。これらは、皆、南方型のモウセンゴケ類に相当する。これだけでも、日本とアイルランドの気候の違いがよく分かるだろう。

モウセンゴケを英名で、Sundew=太陽の露という。美しい名前だ。日本語での、毛氈も、美しさの表現の一つだろう。葉に密生した繊毛一つ一つに小さな雫をつけ、これが絶品である。太陽の下で見れば英名の意味がよくわかるはず。また、赤い繊毛と緑のコントラストもいい。

モウセンゴケというと、食虫植物って話になるが、なんともエグイイメージだ。ところが、ネーミングでは美しさに着目されている。僕的にいえば、独特な芳香もあり、これもいたく気に入っている(ウルトラ・マニアックか?)。

北海道在住でもない限り、日本で湿原を身近に訪ねることは難しいと思う。かの、尾瀬ヶ原を考えればいい。ここでの主役の一つはモウセンゴケ。そのうちナガバノモウセンゴケなんて、極レアな植物である。

アイルランドには湿原(Bogland)が多い。だだっ広い湿原で車を走らせるのは爽快であるし、少し歩いてみればこういった植物にも出会えるだろう。かつて、アキル島の湿原を訪ねたとき、たくさんのモウセンゴケの群落に加え、ムシトリスミレにも出会うことができた。同じく食虫植物であるが、こちらは薄紫の花が魅力である。ただ、日本のものと正確に一致するかは未確認。

これらの植物は、特段、湿原でなくても、湧き水のある湿った場所でもさりげなく見かけることあるはず。興味のある方は要チェック。ただし、検疫上の問題があるので、掘り取って持ち帰ってはだめ。どうしてもというなら、日本で売られているものを購入したほうがいい。

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