« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »

2010年3月

アイルランドの花 (春)

なんだか春だか冬だかわからない気候だが、着実に夜明けが早くなり、桜も咲いている。アイルランドも同じ北半球の温帯なので、基本的には似たようなものだが、東京基準で考えれば、少し遅めの春を迎えることになる。

アイルランドの春の花、といっても日本と大差はない。ただ、森林が少なく、野原が広い。このため花咲く草原とかおとぎ話めいた光景が期待できる。その種類については、植物に詳しい方なら、8割は「日本でも相当するものあるよね」って感じるだろう。

発見の感動があるとしたら、小型のランの仲間。本州だったら高山でしか咲かない○○チドリとか、極上の山草が普通に咲いている。少し大型のランなら、その名もIrish Orchid、これは日本でいう「ササバギンラン」に近い。

日本ほど多様なスミレの種類は自生していないようだ。しかし野生のパンジーがある。日本ではあたりまえの園芸植物だが、その可憐なオリジナルに出会える。

プリムラ(サクラソウ)とくにプリムラ・ポリアンサも、とても多様な色彩を持つ春の代表的な園芸植物だけれども、アイルランドにはその原種に近いものがよく咲いている。ただし、黄色ばっかり。

同じく、日本の春の花壇を彩るアルメリア、これは海岸の岩場で咲いている。潮風に耐える姿がとてもワイルドである。

有名なシャムロックはむしろ、初夏の花だろう。同じく三つ葉で、シャムロックの代用?とされるWood Sorrel、の花季はもっと早いようだ。これは日本のミヤマカタバミに相当する。花の咲くころのシャムロックは、ほぼ雑草の趣だが、こっちはずっと絵になる。以前アイルランドからセント・パトリックデイのカードをもらった際、この植物が描いてあった。

アイルランドの田舎には、延々と生垣がある。バラ科の木も多いが、サンザシなど、春の彩りとしてすばらしい。日本でいえば、ナシやアンズの趣だ。

初夏になると真紅のケシの花が目に付く。群生するとなかなかのものだ。日本ではなかなか期待できない光景だと思う。「ああ、ここヨーロッパなんだ」という感じ。

アイルランドの郵便局に行って夕飯に招かれる話

日本の郵便局は制度改革で揺れているけれども、郵便とは、文明の証だ。文明国なら、どんな田舎であっても、郵便局にアクセスできるインフラが必要だと思う。

アイルランドの田舎でも、どこにも小さな郵便局がある。郵便局といっても、よろず屋さんの一角に郵便を扱う窓口があるというイメージ。まさに地域密着である。ただし、金融業務はやっていないと思う。

あるとき、この小さな郵便局=よろず屋さんのおばちゃんに道を尋ねたことがある。そうしたら、なんと僕のことを知っていた!どういうことかというと、この郵便局の管轄にぼくの文通相手がいたからだ。つまり、この辺に来る日本人など、他にはいないだろうと推測されたというわけ。その文通相手は、すでに亡くなっていたが、店主というか、郵便局長?は、その茶飲み友達だったそうだ。そりゃ僕を知ってるよね。そのおかげで夕飯に招かれることになった。

アイルランドは恐るべき地域社会なので、ゆめゆめ悪評なんて立たないほうがいい。社交を重んじ、礼儀と節度と思いやりの心を持って旅行することが第一である。そのうち、夕食に招かれるかも。

ところで、「ボイコット」という言葉が生まれたのはアイルランド。これはもともと地域の嫌われ者イギリス人地主の名前だが、今では世界的に知られる一般名詞になってしまった。もちろん、ボイコットする、とか動詞にもなる。このボイコットさんは、己の所業の悪さから、末代まで不名誉を残すことになった。

今日の原宿、センパト(セント・パトリックデイ)のパレード

参加の皆様、お疲れ様です、聖パトリックのご加護がありますよう。

ご関心のある方、お目にかかる日を楽しみにしています。

いつもながら、僕は笛関連の団体で参加しました。

このパレード、ブルターニュ関連の団体も毎年参加しているが、今年は本格的な鎧武者が登場した。他ボンバルデュ(Bombard)も2本ほどあり。この楽器は、自分も所持しているので、とても気になっている。いつかお手合わせ願いたいと思っている。ただ、僕の技量では、現在なんとかアメイジング・グレース程度だ。

アイルランドの歌 Mo Ghile Mear(モ・ギレ・マー)

この歌、ゲール語の勉強を兼ねて歌詞を覚えようとしているが、なかなか大変だ。日本で紹介される場合、題名は、「素早き戦士」とかされているが、直訳ではない。それらしく訳すと、「我がつかの間の輝き」になるだろうか。

私の=mo(フランス語ぽく鼻に響かせる感じ) 、輝き=gile→moの後につくから発音上、ギレが柔らかくなりghile,イレ(正確にいえば)、mear=マー(最後に微妙にルがつく感じ)素早い、これが題名の意味。

2016.06.03 追記 gileの意味について

この言葉は、正確には、gille 。古いアイルランドで、”武器を持てる年齢に達した若者”、スコットランド・ゲール語で”若者”の意味。Tigh Mhíchíl このブログでご指摘いただいた。すると、「素早き戦士」は、適切な訳語といえるだろう。ご指摘に感謝いたします。

多くの例では、モ・ギレ・マーに聞こえるけど、ゲール語の正確な発音では、モ・イレ・マーかな。たぶん。

この歌は史実に由来するが、とても政治的でもある。かのケルティック・ウーマンのアルバムにも収録されているけれど、歌詞をオリジナルから相当に変えているのもそのせいかも。

かつてのステュワート王家を支持する人たち=ジャコバイトの歌だからである。これはいわゆる名誉革命を認めない立場だ。ある意味、現イギリス王家の正統性を否定する意味合いがないわけではない。

内容的にはあるヒーローの歌であるが、その武勲というより、女性が去ってしまったヒーローをしのぶ形になっている。ヒーローとは、ボニー・プリンス・チャーリー(チャールズ・エドワード・ステュワート)のこと。

ロマンあふれる話である。1745年7月、フランス育ちの美形の王子様は、ステュワート王家の復興を果たすため、最果ての島に上陸した。そして、屈強なハイランダーたちを従え、一路ロンドンに向け攻め上るが、ロンドンを目前にし、夢破れて敗走する。その最後の戦い、これがスコットランド史上、その凄惨さで名高いカロドン・ムーアの戦いである。

迫り来る追っ手から、王子を助けたのが、この物語のヒロイン、フローラ・マクドナルドである。その舞台となるのは、最果ての島、スカイ島であった。この際、女装してもバレなかったそうだから、どんな容貌の王子であったか推測がつくだろう。

王子はフランスに逃げ延びるがその先はいただけない。自分のために死んでいった者たちに罵声を浴びせながら、すさんだアル中男として一生を終えたようだ。おまけにこの反乱の失敗によって、ハイランド地方は徹底的に蹂躙されてしまい、独自の氏族社会も壊滅してしまった。かくも、ロマンの代償は大きかった。でも、歌というのはすごい、彼は歌の中では今もヒーローであり続けているからだ。

で、フローラはどうなったか。いや彼女こそ輝いていた。逮捕されロンドンまで送られたが、国王を前にした尋問にも動じなかった。自分の「義」を誇り高く述べ、「彼が陛下であっても同じことをしました」と応えたという。このせいあって無事放免されている。

コンテンツはスコットランド、歌われる場所はアイルランドなんて変だが、ステュワート王家がカトリックを支持していたことが大きいといえるだろう。イギリスの王権がプロテスタントを支持したことによって、どれほどの被害がアイルランドに及んだか、これを知るとこの背景がわかりやすくなる。

このように、アイルランドの歌の中には、歌う場所を考えるべき歌もある。そこがスコットランドならまあ、いいだろうが、イングランドなら穏やかではないかも。

« 2010年2月 | トップページ | 2010年4月 »

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ