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2008年3月

ヒキガエルのこと

早春のころ、彼らは繁殖のために、水辺に集まる。カップルもいれば、単身もいる。

オスの数が多いので、水辺でメスをめぐって争う。いわゆる蛙合戦と呼ばれるもので、都内には数千匹集まる場所もあるようだが、ここ東京の住宅街の一角では、せいぜい10数匹だろうか。毎年数が減っている。

近所に池のある家があるようで、この池を目指して、近所のヒキガエルたちが集まるのだ。とはいえ、自動車が通過する道の脇を、冬眠明けの緩慢な動きのヒキガエルたちが歩いていくのだから毎年凄惨な光景を多数見ることとなる。

今年は、帰宅途中見かけた5匹を救出。池のある家までデリバリーしておいた。ヒキガエルを抱えて夜道を歩くなど挙動不審もいいところだが、その甲斐あってか、被害者は4歳くらいのオス1匹で済んだ。

ハリー・ポッターの学友、ネビル・ロングボトムのペットはヒキガエル(toad)だが、けっしてただのカエル(frog)ではない。まあ、見てくれもそうなのだが、毒腺をもっているので、いわば魔性の生き物である。この毒は薬にもなるので、これを活用すれば「ガマの油」となる。昔は薬売りがいたそうだが、今は大道芸として売り方だけが伝わっている。

この毒(せんそ)は、向精神作用があるそうだが、私はよく知らない。いわゆるドラッグにもなるようだ。この辺の妖しさが洋の東西を問わずヒキガエルを魔性の物とみなしているのだろう。

自然ガイドブックには、この毒のせいで危険な生き物として紹介されているが、嘘である。私の日常経験では彼らを手にとって愛でても全く実害はない。よほどの危険にでも遭わない限り、彼らがこの毒を発射することはないと思う。

日本の民具として、ヒキガエルの置物がある。よく庭に置かれることがある。かつての日本人にとって、彼らは身近な「お隣さん」だった証といえよう。蟲を多く捕食するので、農民にとっての益獣でもあったろう。

魔性の物という観点からすれば、日本のヒキガエルの置物は、欧米の庭に置かれるコビト(妖精)の像みたいなものだ。アイルランドの農民にとって、妖精が身近なお隣さんだったように。

遠野方言の本によると、カエルはアオビッキとされている。まあ、アマガエルとか、トノサマガエルとか、緑色系frogのことだろう。ケロロ軍曹もその類だ。

本来の意味は、青い蟇(ひき)という意味に違いない。ヒキガエル=ビッキとはなかなかかわいい。さらに、ビッキィならもっとイイ。

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