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秋の夜長は「ティマイオス」

仕事上の必要から、通勤時間は「金融商品取引法」の解説本を読んでいる。この法律、小難しくて、分かりにくい。小難しいとは、テクニカルに走ったプロ用の法律であるからだ。そもそも、金融法制の最新のものを押さえる必要があって読んでいるのだが、”最新”のものは、時間差により時代遅れのものにもなる。ある意味、むなしい。

新しいものは、すぐ古くなる。しかし、古典と呼ばれるものの価値は、常に新しいということである。秋の夜長に読む本はこの類がいい。

プラトンとアリストテレスはよく対比されるが、読み物として面白いのは断然プラトンである。さすが、もと劇作家。というより、対話篇という点が大きい。この中のソクラテスはいつ読んでも活き活きしている。彼自身がすでにイデアみたいなものだ。

プラトンは学生のころから読んでいるが、人間生きている限り年をとる。だんだんソクラテスと年齢が近くなり、そのうち追い抜いてしまうだろう。所詮生身の人間は、イデアほどリアルではない。しばらく経てばこっちが無である。

文庫本のプラトンは「国家」を除き全て読んでしまったので、ついに全集に手を出してしまった。特に気になる「ティマイオス」はそもそも文庫本では出ていない。ヨーロッパ中世で絶大な影響力をもったといわれるティマイオスが岩波文庫から出ていないのが不思議だ。岩波文庫の「テアイテトス」をティマイオスと勘違いして何か違うと思いながら半分読むまで気がつかなかったのは、何を隠そうこの私である。

ティマイオス、これは俗に、アトランティス大陸の伝説が記載されていることで知られているが、アトランティス大陸は古代文明は抜きにしてアイルランド島だったという話がある。まあ、そうかも知れない。それはともかく、手塚治虫の「海のトリトン」など多くの文学、マンガ、その他もろもろ、この点だけでも後世に与えた影響は大きい。

かのハイゼンベルグが、量子力学の着想を得たのがティマイオスであったという話もある。ティマイオスの副題は「自然について」であるが、要は宇宙論である。プラトンの著作の中では、最も物理、数学的だと思う。絞ればまだ何かが出てくるかもしれない。また核兵器みたいなものが出てきたらこまるが、凡人が読む限り人畜無害である。

余談だが、湯川秀樹も古典には相当精通していた。特に物理学者としての発想の源は、「老子」らしい。ハイゼンベルグのプラトンとは東西のいい対比を出している。

エリウゲナは新プラトン派の哲学者だけど、ティマイオスがその思想に与えた影響とは?これはちょっと興味がある課題としてとっておこう。

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思想」カテゴリの記事

コメント

初めまして。
少し前からブログ等拝見させていただいていました。
アイルランドの写真、とても綺麗でいつか自分もここへ行って写真を撮ってみたいな〜と思わさせられました。ブログはとても勉強になるので、今後とも教養として拝見させていただきます!

小林さま
カキコ、ありがとうござました。

サイト拝見しました。人物の白黒写真はとても心和みますね。
小林さんがアイルランドを撮ったら、ぼくとは異なる可能性が広がりそうです。

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